「経済は終わり、ストレスだけ」 日本より深刻な韓国の新型コロナ事情 現地レポート 映画『パラサイト』の快挙で湧いた国内は一転

まずは、韓国政府の対応だ。韓国政府は当初から、なるべく多くの感染者(確診者と表現)をあぶりだし、隔離することで安全地帯を確保する対応を取った。さらに、そうした情報をすべてオープンにすることで、国民の不安を取り除くねらいもあった。

これは2015年に流行し、186人の感染者と38人の死者を出したMERS(中東呼吸器症候群)から教訓を得たものだ。当時は検査が追いつかず国民の不安を呼び、朴槿恵(パク・クネ)政権にとってダメージとなった。現在の文在寅(ムン・ジェイン)政権はこれを反面教師として、腕まくりして取り組んだ。

その成果が、4日現在131,379人に対する検査実施という実績だ。日本は2,684人(厚労省3日発表)。中国以外の国ではその数が群を抜いている。このため当然、感染者数も多くなる。つまり、韓国政府の全力対応により、逆説的に「新型コロナウイルスが広まったことが分かった」ということだ。

次に、宗教が感染拡大の原因となった。すでに報じられているように『新天地イエス教会』の信徒が感染に気づかずに礼拝などに参加したことで、爆発的に増加した。既存のプロテスタントからは「異端」とされ、ゲリラ的な信徒拡大を行ってきた同教団には、狭い所に密集し歌を歌うなど、感染に最適な環境があった。

今後も1000人単位で

30万人近い信徒は、地方間の往来も少なくなかった上に、同教団の秘密主義により政府当局への協力が遅れ、さらなる拡散を招いた。韓国メディアは4日、「2次、3次感染まで合わせると、感染者の90%が『新天地イエス教会』発」という政府高官のコメントを伝えている。その影響の大きさが分かる。