高級食パンが評判のパン屋には万引き癖が… コロナ禍で大打撃を受ける今、彼は衝動を抑えられるのか?|裁判傍聴

「以前に何度も万引きで捕まりました。あの頃は父と母がいっぺんに亡くなって精神的におかしくなっていて、投げやりになってました」

平成20年を最後に、一旦は万引き癖は鳴りを潜めました。

「勤め始めたこともあって、収入も精神も安定しました。妻も子どもも応援してくれていて、万引きをすることもなくなりました」

その後に独立して生活が不安定になったことで、一度は安定を取り戻した彼の精神はまた平衡を崩してしまったようです。もしまた平衡を崩したら…検察官も弁護人もその点を不安視していました。

――もしまた経営難に陥ったらどうしますか?(検察官)

「昔は失敗をいつも誰かのせいにして投げやりになってました。今はもう他人のせいにはしません」

――次またやったら今度は前とは違った意味でヤフーに載ります。それはわかりますよね?

「もう絶対やりません。店の名前に傷はつけません」

――もし自分の店のパンが万引きされたらどう思いますか?

「…子どもたちのために心をこめて作っています」

――きっと今は仕事が軌道に乗ってるからやらないと思います。でもあなたは追い込まれた時に犯罪に走る傾向があること、これは自覚してください。経営が傾けばまたやるかもしれない。有名になればなるほどマスコミに騒がれます。奥さんでも息子さんでも頼れる時は頼ってください。申し訳ない、なんて思わなくていいですから。弱いところは出していいですから。もう絶対にやらないでくださいね。

 

関連記事:「お金がない…」を理由に犯罪に走る老人の裁判は毎日のように行われている “明日、死ぬかもしれない”という人々に虚しく響く裁きの声 | TABLO