公文書、鍵、拳銃…何でも複製できる「偽造屋」が実際に暗躍した場面とは?

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 よくマンガなどに公文書、鍵、拳銃……と、色々な物を偽造・複製してくれる人物が登場する。何もヤクザ劇画だけではなく、例えばジャンプに連載していたシティハンターなどにも登場した記憶があるので、マンガのキャラクターとしては割とメジャーなのかもしれない。

 さて、こうした偽造屋さんはあちこちに実在しており、マンガに描かれるように本当に何でも偽造や複製が可能だという。そんな偽造屋さんを活用した実際のお話をいくつかご紹介しよう。

 昔々あるところに、所属する会社から独立して、自分の会社を作る(分社化する) ための資金を預かったのに、それを使い込んでしまった男がおりました。会社からは 「まだ登記出来ないの?」 とせっつかれ、その度に 「書類に不備があって書き直してるんです~」 などとのらりくらり逃げる日々。しかしいつまでも逃げ延びられる訳もなく、遂には「書類を自分で書けないならこっちで書くから○月○日までに登記を終わらせろ! それが出来ないなら預けた金を返せ!」 と最後通告が届いてしまったのです。

 仮にお金を集めて返したとしても、問題は会社登記するためにと預かったお金を使い込んでしまった事実です。下手をしたら刑事告訴が待っています。どんな手段を使ってでも、2~3日の内に登記簿謄本を会社に提出しなければ、しばらく臭い飯を食うハメになってしまうところまで追い込まれてしまったのです。

 男は焦りに焦り、辿り着いた先が偽造屋さんでした。偽造屋さんは男から会社登記のための書類を預かり、それを元に精巧な登記簿謄本(偽造) をあっという間に作り上げました。男はそれを持って会社に「出来ました~」 と見せに行き、稼いだ時間を有効活用して会社登記を終わらせ、なんとか告訴だけは免れたのです。

 また、その偽造屋さんにはこんな逸話もあります。とある常連客が 「紙の偽造の腕は解るけど、金属はどうなの? 例えばチャカとか」と軽口を叩きました。するとカチンと来たのか職人魂に火が付き、これまたあっという間にモデルガンを元にして見事な改造拳銃を作り上げたのです。常連客が面白がって鉄道の高架下でジュースの空き缶を標的に試し打ちしたところ、何の不具合もなく弾が飛んだそうです。 じゃあその弾はどっから仕入れたんだよという話ですが、それはそれで、ね?

 このように、日本には決して表に出ない様々な職業の方がおりますので、何か追い詰められた時はダメ元でそういう人達を探し出してみるのも良いかもしれません。

 最後に、素人が偽造屋のマネをすると酷い目に遭うというお話を。ある所にワルガキがそのままオトナになったような男がおりました。仮に名前を松本としておきます。松本は友人と食事をした店の卓上に、岩塩が置いてあるのを見付けました。 松本はそれを見てピンと来たらしく、こっそり持ち帰って削ってパケ詰めし、グラムいくらで売り捌いたのです。最初の内はそれを「なにか」 と勘違いした客が買ってくれ、いい小遣い稼ぎになったそうですが、すぐに大騒ぎになり、それはそれは恐ろしい事態に発展してしまったそうです。

 っていうか、これは偽造ではなく、偽物を掴ませる明らかな詐欺です。絶対によいこのみんなはマネしないように。

Written by 荒井禎雄

Photo by patdebaz

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