【徹底解説】東京オリンピック開催で再び暗躍か? アパホテルが12億も騙し取られた詐欺『地面師』の実態

『地面師』はこうやって買主を騙す


 地面師の手口を要約するとこうです。

一等地を所有する地主(と称する者)が、「もう使わない土地だから」「緊急にまとまったお金が必要だから」と売却(あるいは不動産担保融資)の話を持ち込んできて、実際に土地の権利証や所有者の印鑑証明書、登記手続のための委任状、そして所有者本人確認書類として運転免許証などを出してきます。

買主(あるいは金融業者)が「しめしめ、これはおいしい取引だ」と信じ込み、司法書士に書類を確認させても「問題ない」との答え。そこでお金を出すと、後日法務局から「権利証は偽造の疑いがある」と連絡が入り、その頃には売主はもうどこかへ姿を消していて、最終的に登記申請は却下され、結局土地を取得できないで終わるというものです。

あるいは、登記申請は通ったものの、しばらくして土地の本当の所有者から「私は土地を売った(あるいは抵当権を設定した)覚えはない」とクレームが入り、やがて裁判を起こされて登記を抹消させられ、結局土地を返還させられることもあります。

土地取引は一般に高額なものとなりますから、騙された買主や融資した金融業者はカンカンです。被害が気付いた頃には地面師は既に姿を消していますから、

「偽造書類を見抜けなかった司法書士が悪い」
「却下すべき登記申請を通してしまった登記官が悪い」

と裁判が起こされることも多々ありますが、不可抗力だったとして請求が棄却されることも多く、仮に勝訴判決を取っても全額弁償できる資力がなければ裁判費用すら回収出来ないかもしれません。