ツイッタートレンド「裏社会の住人」とは何者か 誰でも裏社会の住人になる可能性がある|久田将義

何せ、日本の五大新聞の一つである産経新聞に六代目山口組司忍組長のインタビューが載るくらいです。また、一昔前にはNHKでヤクザがインタビューに答えていました。さらに実話誌全盛期には、投書には「〇〇親分のファンです」といったものも掲載されていました。ちょっとしたアイドル扱いのような時代がありました。

が、皆さんがイメージする、またツイッタートレンドに上がった単語、「裏社会の住人」というのはこういった、顔出しすらせずに「何をやっているか分からない人間」の事だと推測します。

具体的に言うと、半グレと言われている準暴力団。が、それも実話誌と一線を画した「ネオ実話誌」と言われている、例えば、僕が編集長を務めていた『実話ナックルズ』(大洋図書)などでは、写真付きでインタビューが掲載されるようになり、そういった人達が表に出て来たように思います。17年以上前くらいからになります。

因みに『実話ナックルズ』のコンセプトの一つに「現役のヤクザは掲載しない」というものがありました。現役のヤクザは既存の歴史ある実話誌に任せておこう、という考えからでした。差別化を図った訳です。

裏社会の住人と言うと、このように表に出ない「裏の世界にひっそり住んでいる」というイメージでしょうが、上記のヤクザ、準暴力団たちは歌舞伎町などの繁華街に行けば、皆さんが気づかないだけでよく見かけられます。

歌舞伎町と言えば、例えば若者が集うアルタ前でこんな事がありました。以前、アルタ裏を歩いていたら、旧知の某組織の親分が一人で歩いていました。声をかけた途端、後ろからボディーガードの人間が僕の方に血相を変えて駆け付けてきました。「ああ、この人は大丈夫」と親分が言ったので、ボディガードは後方に下がりました。つまり、裏社会の住人は、一般人と同様に普通の道を歩いています。

ですから、僕は「裏社会という場所」があるのではなく、裏社会というのは時間・空間であると考えています。

そもそもヤクザ、準暴力団だけが裏社会の住人でしょうか。何が言いたいかというと、「裏社会の住人には誰でもなる可能性がある」という事です。

参考記事:ヤクザがメイド喫茶を運営することはあるのか 現役暴力団幹部に聞いた 「当たり前。今の時代、何でもやるでしょう」 | TABLO