年末年始がコロナ対策の「大連休」になることにより犯罪に走るしか生きる術を持たない人々が存在することを西村大臣は知っているか
平成31年4月29日から始まり令和元年にまたがったゴールデンウィークは10連休という大型のものでした。
細谷賢治(仮名、裁判当時35歳)は連休の始まる前日、4月28日に窃盗罪での服役を終えて水戸刑務所を出所しました。まるでドラマのような話ですが、出所の際に刑務官から、
「もう二度と来るなよ」
と声をかけられたそうです。刑務官もまさか翌日に彼が再び逮捕されることになるとは思ってもいなかったと思います。
彼は刑務所を出てすぐ、「仕事を紹介する」と言ってくれていた知人に電話をかけました。しかしその知人は電話に出てはくれませんでした。後に彼はもう1度この知人に電話をかけることになります。犯行に至る直前です。その際にも知人が電話に出ることはありませんでした。
知人がいるのは東京です。連絡が取れなくてもとにかく東京に行けばどうにかなる。彼はそう考え、その日の夜行バスで東京に向かいました。
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彼は幼い頃に両親を亡くし名古屋の児童養護施設で育ちました。頼れる親族はいません。施設を出たあとは配管工や建設業などの職を転々としましたが、どの仕事も長続きしませんでした。
原因はパチンコです。
彼はギャンブル依存症の診断が出るほどにパチンコにのめり込んでいました。金銭に困ってトラブルを起こして仕事を辞めざるをえなくなる、そして仕事がないから困窮して犯罪に走りよりいっそう仕事に就くのが困難になる、彼はいつしかそんな沼にはまり込んでしまっていたのです。