SNSで賛否両論となったバス停の「野良イス」問題 人の善意と厳しい法律の狭間で椅子たちの“第二の人生”は…?
「法律云々より思いやり。これくらい認めてやれよ」
「ひとつ許したら無法地帯になる」
と賛否両論。
スミさんによると、国土交通省への多数の問い合わせにより、結果的にこのバス停には正式にイスが設置されることになったとのことで、一件落着となりそうです。
しかし、この状況は渋谷2丁目のバス停だけに限ったことではありません。
実は私、こうしたイスを「野良イス」と名付けてその写真を撮って回っている野良イス収集家で、300以上の野良イス写真を保有しています。
その経験から申し上げれば、こうしたイスは思いやりから置かれたもので、かつ役に立っているものもあります。ただ一方で、単なる不法投棄で使われずにいるものがあることも事実。
【写真】街にあふれる「善意の椅子」 あなたもきっと一度は目にしたことがあるはずです
この野良イスの違法性についてですが、背景が思いやりであったとしても道路法第44条の中で禁止されており、また不法投棄は廃棄物処理法第25条1項14号で罰せられる可能性があります。ただし、違法だからといってこれを簡単に動かすことができないという側面もあるのです。
たとえば、このイスが違法の状態にあることから、投稿を見た人が通行の邪魔にならないように、また、目の不自由な方の通行の障害とならにように撤去したとします。するとその人は、遺失物横領罪(刑法254条)または窃盗罪(刑法235条)に問われる可能性があります。いわゆる「ネコババ」をしたと判断されてしまうのです。こ
れは、国や自治体が撤去する場合でも同様で、今回のように貼り紙をするなど、決められたフローを守った後でないと撤去はできないうえに、その後のフローも面倒であるために、撤去にまで至らない例も数多くあります。