「忖度しない検事」が巻き起こす旋風の行方…社会派に薦める韓流ドラマ|李策

シーズン1のストーリーの縦軸は、ワイロや接待で検察に食い込んでいた実業家の殺人事件だ。ある理由から感情を失った冷徹な検事ファン・シモクと、人情派の女性刑事ハン・ヨジンが真相を追ううちに、第2、第3の事件が発生。「次はいったい何が起きるのか」と見る者を引き込む脚本の力はすごい。そしてドラマの横軸として、韓国の政財界からエリート検事が何を期待され、どんな役回りを担い、どのようにして正義に背を向けてきたかが描かれる。

個人的に面白かったのは、感情を持たないはずの主人公の表情の変化だ。ラスト近くの取り調べのシーンでは、チョ・スンウの演技力に感嘆させられた。ちなみに、主人公は「忖度しないキャラ」が特徴でもあるが、この点は現実の世界の前検事総長、尹錫悦氏とも重なる。

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シーズン2は、先述した検察と警察の捜査権調整が重要なテーマになっており、そこに双方の暗部が複雑にからまる。ミステリーとしての魅力は前シーズンが勝るが、リアルさの点ではこちらの方が上だ。そして前シーズンにも増して脂の乗りきったペ・ドゥナの演技は、見て置いて決して損ではない。(取材・文◎李策)

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