女児の遺体を山に埋めた、ある刑事たちの犯罪…映画『殺人の追憶』事件の”番外編”|李策

同年12月、衣類やカバンなどの遺留品が近くの山林で発見されるのだ。警察は同月28日までに、国立科学捜査研究院(国科捜)に対してピンク色の半そでブラウス、ランニングシャツ、ブルーのスカート、靴下、そしてブラウスから採取された3種類の体毛などの鑑定を依頼。国科捜からの結果報告も書面によってなされている。

ところが奇妙なことに、こうした事実は家族にまったく知らされなかった。

それだけではない。警察は間もなく、遺留品が見つかった現場付近でヒョンジョンちゃんと思しき遺体を発見。捜索に加わった当時の地元防犯隊長はメディアの取材に対し、「なわとびで縛られた骨を見た」と、そのときの様子を語っている。

この事実もまた、家族には伏せられた。それどころか、警察は遺体を発見したことは知らせないまま、家族からヒョンジョンちゃんのなわとびに関する調書を取っている。ここで何らかの記憶違いが起きたのか、あるいは警察の作為の故か、ヒョンジョンちゃんの父親と姉が、なわとびの色や形について異なる供述をしたことになっている。どうやら警察はこれを根拠に、遺体はヒョンジョンちゃんのものではないと結論付けたようだ。

「捜査があまりに苦しかった」

しかしそれでも、身元不明の遺体は残るはずだ。なのに、これがどこにもないのだ。