バツ3女性の生きざま『大豆田とわ子と三人の元夫』 松たか子・岡田将生・松田龍平・角田晃広らが好演 坂本裕二脚本が秀逸

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フジテレビ系で4月から始まった連続ドラマ「大豆田とわ子と三人の元夫」(火曜夜9時)に、脚本家・坂元裕二の持ち味が前面に出た作品として注目している。くせのある登場人物に本音と皮肉を語らせながらの思い通りにいかない人生の描き方以上に、手の内を見せながら「感動」や「どんでん返し」に頼らない型破りな独自のドラマづくりへの挑戦が斬新な快作だ。

「大豆田」は主人公とわ子(松たか子)と離婚した三人の男性(松田龍平、角田晃広、岡田将生)との関わり、新たな女性とのつながりを中心に、中年男女の今ふうの人間関係を見つめる。

坂元が2013年に手がけた「最高の離婚」(フジ系)は、東日本大震災の当夜に出会い結婚した二人がすれ違いから離婚する男女(瑛太、尾野真千子)のやり取りが評判になった。日常生活で様々なこだわりを見せる神経質な夫と、ずぼらな妻とのずれが苦笑とリアリティーを伴って視聴された。網戸が外れることが許せない点で、とわ子と「最高の離婚」の夫は共通している。

トレンディードラマを代表する1991年の「東京ラブストーリー」(フジ系)で脚光を集めた坂元は、児童虐待が隠れたテーマとなった2010年の「Mother」(日本テレビ系)、犯罪加害者を正面から取り上げた11年の「それでも、生きてゆく」(フジ系)など、連ドラで未踏の領域を開拓しながら活躍してきた。「大豆田」は「最高の離婚」と連なる作風だ。人間心理の微妙な動きや成熟しきれない大人の実態を余すことなく伝える。