プロ野球選手がファンのマナーにSNSで激怒 彼らが常に恐れている”彼女ヅラ”の女たち|春山有子

<ファンあってのプロ野球。なのはわかってます。でもサインを書いて貰えなかったからと言って、カードを破り捨てましてや大学の敷地内に投げ捨て、次の練習に移る選手に対して「死ね」と罵声を浴びせる。これは間違ってると思う>
<自分も時間が無い時はサインや写真をお断りする事は有ります。でも僕なんかに頼んでくれた人には極力サインさせて貰うように心がけています。でもできないこともあるのをわかって欲しいです。もうこんな事しないで欲しい。みんなが来られなくなる>

と、切実な訴えを投稿しました。

筆者もかつて野球選手ファンとして、春季キャンプは当然のこと、日頃から二軍練習場に足繁く通っていました。そんな場所に集まるファンと、ペナントレースだけを観戦して満足するファンとの違いは、その熱量。

となると当然、上記選手たちが苦言を呈したくなるような行きすぎたファンがいるのも当然なのです。

選手はいつもこんな”奴ら”に見張られている

筆者が川崎市多摩区にある読売ジャイアンツ球場に通っていた当時のことを思い返すとーー。

まず、室内練習場沿いの駐車場に陣取るのは、野球BOYたち。立派な大人ですが、「コンプした野球カードに、サインを全制覇したい」という妥協なしの野望を胸に、分厚い野球カードファイルを持ち闘志みなぎる眼で出入り口から選手が出てくるのを睨みつけるそのピュアなスタンスは、まるでBOYのよう。
彼らは出てくる選手に無言かつ力強くカードを差し出しすと、選手はその迫力に気圧されるようにサインをしてくれます。

そしてグラウンドのフェンス越しに一定の距離を保って佇むのは、”彼女ヅラ”たち。彼女ではありません。”彼女ヅラ”です。推しの選手が活躍するとフェンス越しに、「ちょーし、いーじゃん」と、タッチの南ちゃん並の親密さを醸し出しますが、ただのファンです。

筆者も友人とともに「付き合う」ことを目標に、真剣に汗水流したものです。

階段トレーニング中を見計らい、偶然すれ違ったかのように装い(ジャイアンツ球場にしか続かない階段だから、偶然すれ違うような場所ではない)、「こんな場所で会えるなんて。よかった。今日、お手紙書いてきて……」と、ハァハァ息切れする選手の手にファンレターをねじ込む。

球場から駐車場までの道のりで、選手が歩く横に音もなくスッと並び、ポカリとお茶を差し出し「ねえ、どっちがいい?」と小首を傾げる。

事前に選手の車内をチェックしてミスチルの新譜があることを確認し、選手が歩く横を音もなくスッと並び、「ミスチルのアルバム買った? 今度さ、貸して?」と上目遣いで要求する。

春季キャンプ真っ只中のバレンタイン。選手が宿泊するホテルにゆき、フロントから選手を呼び出してもらい(今考えるとどうしてイケちゃったんだろうか)、「これ……」とゴディバのチョコレートを渡す。多くは語らない。

ほのぼのと野球を観に来た親切な家族連れに、「あの選手のファンなの? じゃあツーショット撮ってあげるよ」と言われ、「あー……ファンってか……そういうんじゃないんで(笑)。写真とか、いいんで(笑)」とあしらう。

ついに違う世界に行ってしまった友人は、「非通知で電話がかかってきた。彼に違いない。だってほら、オフの日のこの時間だもん。彼でしょ? 私に伝えたいことがあるんだ。離れていても、大丈夫だよって」と覇気のない表情で言い、雨の日も風の日も雪の日もジャイアンツ球場や選手寮前に立ち続け、「雪が、好き。あなたを想うあたしにつもる、しんしんとした、雪が、好き。」というポエムを書き出す……。

しかし筆者らはまだまだ序の口だったのです。

 

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