プロ野球選手がファンのマナーにSNSで激怒 彼らが常に恐れている”彼女ヅラ”の女たち|春山有子

SNSでものを言って何か伝わるの?

K子さんという、”彼女ヅラ”の重鎮がいました。
いつもスーパー銭湯の館内着のようなムームーを着ていた、推定40代女性です。彼女は”みのる”という名の選手のファンで、いつも室内練習場が見下ろせる切り株に座り、物憂げにみのるを見つめていました。

ある日、K子さんが筆者に、携帯電話を渡しながら、言いました。
「みのると喧嘩しちゃってさ。これ、留守電が入ってたの」
携帯電話に耳をあてると、
「電話されても、困るんで」
という、冷たく無機質なみのるの声と、「ね? まったくもう」と柔和に微笑むK子さんとのコントラストが、筆者の肝を冷やしました。

その日、みのるが室内練習場から出てきたそのときです。突然K子さんが立ち上がると、すごい勢いでみのるにライターを投げつけたのです! そうして、泣きながら何かを叫びます! 明らかにブチギレたみのるが、鬼の形相でこちらに向かってきます! あ! 二軍広報のFさんが慌てて走ってみのるを止めにきた! みのるがあと一球抑えれば日本シリーズ進出というときの投球のように力を込め、叫ぶ!

「この! くそばばあが!」

……後日、K子さんは相変わらず、「昨日、みのると隣の台でパチ打ったんだあ」と柔和に微笑んでいたので、みのるは脱力するとともに、さぞかし恐怖に震えたことと思います。

直接、渾身の力を込めても伝わらないのですから、武田・大竹両選手は、短時間で消えてしまうストーリーにこっそりあげてもあまり効果がないのではないのかと、伏魔殿を知るファンは思ってしまうのです。

一方その頃、現役時代の清原和博はというとーー。

ある年の巨人の宮崎春季キャンプ。あの、圧倒的な威圧感。普通に歩いているだけで、まるでモーゼのごとく善良なファンたちがササーッ! と避けまくりりできた道。サインなんて、もってのほか。怖かった。あれは本当に、怖かった。

ということで武田・大竹両選手には、元ファンのひとりとして、威圧感を養うことをおすすめしたいです。(文◎春山有子 連載『一文字一円の女』)

 

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