80人vs1300人! 昭和の喧嘩は半端なかった 伝説の武闘派暴走族「極悪」

大井ふ頭は当時は、暴走族のたまり場でした。当時、CRS連合1300人がたまっており、きっかけは諸説あるものの、築地、月島、深川、板橋、北千住の極悪のメンバーが「今、大井ふ頭にCRS連合がたまっているらしいぜ。喧嘩売るか」と言い出したためとの事。CRS連合はアーリーキャッツ、ルート20、スペクターという老舗で有名3チームの連合です。

●不良少年の闘争心理

抗争を起こしたのは二代目の築地、月島、深川極悪のメンバーと板橋極悪のメンバー。北千住極悪は途中で検問にあってしまい参加出来なかったらしいです。また参加メンバーは金鹿(みなごろし)もいたと言われていますが、僕が取材しとた二代目築地、月島、深川極悪のメンバーからは名前は出ていませんでした。

北千住極悪の不参加により、極悪のメンバーは約80人。CRS連合は1300人。圧倒的不利の数の中、極悪は突っ込んでいきます。どうやって突っ込んだのかもメンバーに聞いても諸説ありで、

・板橋極悪のメンバーが突っ込んで一回はかき回したが巻き返された。
・築地極悪のメンバーが軍艦マーチを鳴らしながら、四輪で突っ込んでいった。

というもの。いずれにせよ、不意を突かれたCRS連合は散り散りになります。が、相手が少数だと言う事に気づきます。「向こうは少ないぞ。やりかえせ」。CRS連合は数に勝ります。いったんはかき回した極悪もCRSに押され、港に飛び込んでやり過ごす事になります。
さすがに80人(一説には100人)の人間が1300人を倒すと言う事はできなかったようです。やり過ごした後、極悪のメンバーは「このあとどうする」「吉野家でも食って帰るか」と帰宅したようです。

それにしてもなぜ、極悪はこんな無茶な特攻を仕掛けたのでしょう。メンバーに聞くと「初代の人にお前らすげえじゃん」と言われそれが嬉しかった、と言っていました。これは不良少年の心理の基本と言えるでしょう。

孤高の超アウトロー集団『極悪』 特攻服や漢字表記のルーツとなった暴走族 誰もが恐れた彼らの正体とは|ニュースサイトTABLO

地元意識の強さ、地元の先輩・後輩の結びつきの強さは極悪に限らず、不良少年の特徴です。極悪は(暴走族は)ヤクザになる人間が多い訳ですが、ヤクザが絶対譲れないものとして「縄張り」(シマ)があります。ヤクザの場合、それが抗争になり命のやり取りになってしまう訳ですが、暴走族の少年たちにもそれが根付いています。つまり抗争相手よりも逃げて地元の先輩にヤキを入れられ方が怖い訳です。

国士館高校OBにも同様の話を聞きました。当時は朝鮮高校との喧嘩が激化し、駅で喧嘩をして電車が止まり、新聞沙汰にもなる訳ですが、「先輩の恐怖のヤキを受けるくらいなら少数でも喧嘩してやる」という心理だったようです。
この心理は現在でも続いていると思われます。

「地元」というワードは不良少年・少女にとってパワーワードで、取材するこちら側からすれば事件が起きた時に解明のきっかけとなるキーワードにもなります。参考まで。極悪という暴走族の取材から得るものは、かなり大きかったと言えます。次回に続きます。(文@久田将義)