小泉純一郎になれなかった男・河野太郎は終わったのか SNSでの人気は空虚だった
政権与党は菅総理(9月30日現在)の対極にある人を総裁・総理にしたかったはず。菅総理の政治家、いや総理としての決定的欠陥、「言葉がない」。国民はこれと真逆の政治家を待望していた。
つまり物をハッキリと言う。突破力がある。若手の人気が厚い。それが「何にをするか分からない男」「国民に人気」の政治家・河野太郎氏だった。菅総理の元、選挙で東京都議選では事実上の大敗。横浜市長選では立憲民主党が推す山中竹春市長が当選。
「このままでは衆院選負けます」
自民党関係者から悲痛な声も聞こえてきた。が、自民党の政権に対する執着力は皆さんが考えている以上に凄まじい。ある意味、感心する。泥くさくても、とにかく何がなんでも政権を奪取する。もう二度と旧民主党政権時代はさせない。その一心で巨大な熱量が永田町でうごめいている。
直近では小池都知事の希望の党がブームになりかけたのが最大の危機だった。
「あの時は本当にヒヤッとした。下野も想定していたが『排除発言』で助かった」(自民党関係者)。
絶対下野したくない。この執念は立憲民主党や他の野党にないものである。少しくらい世論の反発を買ってもなりふりかまわず、政権奪取にまい進する。この熱量の違いがあるのではないか。そもそも現在の自公連立政権もいびつである。
河野太郎氏と石破茂氏・小泉進次郎氏の国民人気トリオ「小石河連合」がもし成功し、河野氏が総裁・総理になったあかつきには、恐らく自民党にも新しい風が吹いただろう。国民も熱狂しただろう。河野太郎総理・小泉進次郎官房長官・石破茂幹事長になったなら、コロナ感染者が下落し、10月1日から「新しい生活」を営む国民にとって、多分そこそこのミスをこの政権がしたとしても「許す」「忘れる」はずである。そして、衆院選も勝った可能性が高い。
が、この熱狂計画を狂わせたのはほかならぬ、河野太郎氏であった。
日本人は熱狂に弱い。違う言い方をすれば熱狂が政治を作っていった。古くは田中角栄元首相「日本列島改造論」。中段になると、小泉純一郎元首相「郵政改革」。当時の純一郎ブームは凄く、写真集まで出したほどである。それを支えたのは無党派層だった。女性の黄色い声での「純一郎さーん!」は街宣で「自民党をぶっ壊す!」とマイクパフォーマンスをする小泉氏に多く投げかけられたものである。
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近年では、小池都知事の希望の党ブーム(一瞬で終わったが)。当時、小池都知事の独特の論法で都民は幻惑された。すなわち巨大な仮想敵を作り(自民党都議会)、「そこに立ち向かう私に力を貸して」という訴えは都知事候補時代に「電信柱をなくす」「満員電車をなくす」といった公約が反故にされてるのも何のその、ここでも熱狂が起こった。
「百合子ちゃーん!」という声の大半は、「純一郎さーん」という声質と同じだった。すなわち、無党派層の女性。「緑のものを持ってください。振ってください!」という小池都知事の声に旗を持っていない人はきゅうりやズッキーニを振っていた。
政権が変わる時、あるいは政権内革命が起こる時、絶対に熱狂が必要になってくる。海千山千の政治家たちがあ然として大河の流れを見つめて、呆然とするような熱狂だ。