もしもウィルス・スミスがグーパンチで殴っていたら 「暴力論」から見るアカデミー賞殴打騒動
パンチを入れたなら、それはもう喧嘩です。人の顔面に思いっきり拳を入れるのは、躊躇するものです。とは言え躊躇なく、100%の力で人の顔面を殴れる人もいます。それはまた違った能力を持っている人と僕は解釈しています。生まれつき、人の顔を思いっきり殴れる人間はいるものです。これを僕は「暴力の才能」と呼んでいます。
ウィル・スミスが手を出した事に対しては非難されてしかるべきでしょう。が、口で言い返しても(例えウィル・スミスが元ラッパーだった過去があるにせよ)、トークのスペシャリスト、クリス・ロックの術中にはまって妻の屈辱は晴らせなかったのではないでしょうか。
口で言っても分からない事がある。こういった事は本来は、あってはいけません。しかし、ギリギリのところでウィル・スミスは踏みとどまりました。
あれで胸倉をつかんだとします。これは「喧嘩」の様式になります。また、パンチを顔面に入れたとします。ウィル・スミスの手も怪我をする可能性があり、クリス・ロックが鼻血や口を切って流血になる恐れがあります。流血のまま、世界最高峰の映画祭が続行されるという、不名誉な歴史の一ページがになってしまいます。
ウィル・スミスのコメントが出ていないので断定出来ませんが、結果的に平手打ちで良かったのだと思います。暴力は反対ですが、どうしてもウィル・スミスの気持ちを考えるとギリギリの行為とみなします。平手といっても痛いですし、掌底の部分にでもあたったら歯が飛ぶ事だってあり得ます。
しかし、今回の平手打ちは、学校の先生が生徒にするような腰を入れずに手だけで打つ、最もダメージが軽減される打ち方のように見えました。痴話げんかの際、女性が男性に打つ平手打ちの延長線上というものと言えば良いでしょうか。
クリス・ロックからすれば、もしかしたらもう少し効いたのかも知れませんが、それによってウィル・スミスの怒りは観客及び、クリス・ロックに伝わっだろうし、ウィル・スミスは手を出した事は謝罪すべきでしょうがクリス・ロックにその気がなければ裁判沙汰にはならないでしょう。
ただ、グーパンチだった場合、口でも切っていたりしたら相場で全治1週間となり傷害罪で訴えられる可能性はあったと思います。
ギリギリの選択を咄嗟にしたのか、偶然か分かりませんが、怒りを表現する方法としてウィル・スミスの平手打ちは彼の中でギリギリの選択だったと言えると思います。(文@久田将義)