私が見た漢民族のウイグル族差別 「逃げる者は射殺」の衝撃【前編】

「共産党政府のウイグル族への弾圧がひどくなったのは2017年です。ウイグル族は皆パスポートを取り上げられて外国には行けなくなりました。街ではウイグル族というだけですぐに尋問される。何より、再教育キャンプといってウイグル族を片っ端から収容していきました。その数は100万人、いやそれ以上収容の人たちがされています。そうした収容所は全土にあります。現地で小学校のような高い壁を見つけたら上を見てください。鉄条網があったらそれが収容所です」

行方不明になったウイグル人の子供。

――実はもうすぐ、新疆ウイグル自治区を取材するつもりなんです。どなたか現地の人にお話をお聞きしたいんですが、紹介していただけませんか。例えば私があなたの親族の方に会って言付けするとか、お土産を渡したりとかっていうのはまずいんですか。

「私だってそうしてほしいですよ。でもできません。親や兄弟とはもう10年も連絡できていません」

日本に家族がいるというだけで収容施設へ入れられたりする可能性を彼は示唆した。これは辛い。絶句していると彼は僕に念を押した。

「私の名刺は絶対に持って行かないでくださいよ。これはあなたの安全のためです。財布に入ったのが見つかって、スパイ扱いで一日拘束された日本人がいましたから。そうでなくても日本人には尾行がつくという話ですから、くれぐれも気をつけてください」

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調べたところ、ウルムチへの漢民族の流入人口は10年で4倍。これを自然増と見なすのは不自然だ。しかも少数民族がいる地域に限って異様な人口増。しかもそうした地域ではバブルが発生しており、開発の中枢はすべて漢民族が担っていることがわかった。自然に人口が増えたのではないだろう。共産党政府が意図的にやったことは間違いない。

トルファンでは厳戒態勢。

中国政府はこの地に率先してたくさんの漢民族を移住させ発展させた。その一方、ウイグル族から仕事を奪い、収容所に入れるようになった。改革開放を実施し高度成長を果たしたからこそ、格差が増大し、ウイグル族は生きることが困難になってきたのだ。

すべての国民がほどほどの生活を送るという中国政府の目標はウイグル族に関してだけ言えば、達成するどころかむしろ悪化させていると言える。(写真・文@西牟田靖)