バイトがモテモテだった平成時代 『FromA』でバイトを探していた頃

令和の時代のように、バイト登録サイトに登録していたら「あれ、返事あったよ」といった感じではない。そこそこ高い時給のバイトには多くの若者が群がり、なんとか少しでも条件の良い仕事を取るべく魑魅魍魎のバトルが繰り広げられていたのだ。

さて、そんな中、私はクリスマスのシーズン、JR新宿駅のケーキ販売店でのバイトを無事獲得できた。自分が行っていた大学名を言うだけで「じゃあ12月22日から12月31日まで働きに来てね」とあっさりと採用された。さらには「あ、ALTAの地下の我が社の経営する喫茶店にも1月2日から1月5日までウエイターとして働いて」と言われた。

なんと、14日間もの仕事をGETできたのである! この仕事は8時間8000円だったのだが、結果的に12万2000円を2週間で稼ぐことができた。これは大学1年生にとってはかなり「おいしい」仕事である。しかも、当時のバイトは緩く、余ったシュークリームやらケーキを持って帰ることができたのだ。これらがその後のメシになり、これまた助かった。

令和に入り、「時給を30円上げなくてはマズい……」などと言っているが、日本が好景気だった頃はバイトをすることさえかなり高倍率だった時代があったのである。そこまで日本は没落国に落ちぶれているのだ。(文@中川淳一郎 連載「俺の平成史」)