「統一球」「飛ぶボール」への変遷から見るNPB「ホームラン史」

2013年シーズンが開始すると再び本塁打が出るようになり「飛ぶボール疑惑」が出てきたが、NPBは否定。しかし過去2年とは別のボールを使っており、NPBが変更を公表せず混乱をもたらしたことから加藤良三コミッショナーが辞任。この年の本塁打数は1311本となった。

プロ野球の世界では「ドームラン」(巨人の攻撃の時のみ東京ドームの空調を外野方向に風を流すことにより生まれるホームラン)のように、真偽不明の噂はあるが、この2013年は明らかにNPBが隠蔽したわけだ。
今年のプロ野球は阪神の投手陣が防御率2.62(6月1日現在)を記録するなど、投高打低の傾向があるが、統一球の2011年、田中将大は防御率1.27、ダルビッシュ有は1.44を記録していた。

元々統一球は、WBCやMLBの使用球に近い反発係数にすることを狙っていたのだが、実際はそれらよりも低く、ただ本塁打が少なくなるという効果になってしまい、「千葉ロッテマリーンズというすごい選手」をネット上に生み出してしまったわけだ。

それにしてもプロ野球も随分と変わったものだ。昭和の時代は酔っ払ったまま先発する投手がいたり、川崎球場では流しそうめんをする観客がいたりした。ヤジも苛烈なものが多かった。平成になっても山本モナと不倫をした二岡智宏が「モナ岡」とヤジられるなどヤジる風潮はあった。
しかし、令和に入り、球団がスキャンダルを起こした選手へのヤジを自重するよう申し入れを行うなど、確実に空気感は変わった。まぁ、新型コロナ騒動の際「無観客」「観客は収容人数の半分以下」「ジェット風船禁止」「声出し禁止」「マスク着用」「トランペット等禁止」といった通達にファンは素直に従っただけに、「お願い」には忠実になったのだろう。

これからも次々と主催者権限で要求が通るプロ野球になるだろう。「ビジターチームへの応援禁止」を猛烈に弱いチームがやり出したらどんな影響が発生するか、球場の雰囲気も左右するスポーツなだけに一度見てみたい気もする。(文@中川淳一郎 連載「俺の平成史」)