新宿から山手線で代々木方面に、または中央・総武線で四谷方面に向かう途中に「暖かい心はあいさつから」という看板を見たことのある方もいらっしゃると思います。
これは「霊波之光」という新興宗教が掲げている看板で、「霊波」と呼ぶ神通力によって苦しみや痛みが消え奇跡が起こると信じられています。フィギュアスケート元日本代表のある選手が教団のペンダントをつけて試合に出ていたり、ジャニーズグループのある一人も信者という噂もあります。
関連記事:奇祭!? 蒲田に冬の訪れを告げる新興宗教による行列は神々のDIY風パレードだった!|Mr.tsubaking
いわゆる新興宗教施設というものは、信者以外の者からすると閉じられた空間だと感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、千葉県野田市にある霊波之光の本部には、日本最古のハンバーガーチェーンとして、いまでも根強い人気のある「ドムドムバーガー」があるのです。
最寄りは東武野田線の運河駅。駅には霊波之光の広告がしっかり出ています。
駅から歩いて10分足らずで、本部が見えてきます。本部内は原則的に写真撮影が禁止されていますが、盆栽展が行われており同ゾーンからの撮影は許可されていました。
奥に見えるお城のような建物は「救いの城 天使閣」と称される本部の象徴的な建築です。信者でない者でも、本部内へ入ることは規制されていません。敷地内は、信者の方々の奉仕活動によって綺麗に清掃されており、ゴミや落ち葉もまったくなく清潔感にあふれています。
ドムドムバーガーが入っている建物へ向かってあるいていると、全身白装束の熱心な信者の方とたくさんすれ違います。胸には2代目の現教主への信仰をあらわし「大好きバッヂ」黄色いバッヂをつけています。みなさん「こんにちは」と挨拶を投げかけてくださり、あの看板にもある「暖かい心はあいさつから」がしっかりと実践されているのです。
ドムドムバーガーのはいっているプラザ館という建物に入り、地下一階へ降りると、そこはフードコートになっていて、その一角におなじみのゾウのマークを掲げたドムドムバーガーのカウンターがあります。店員さんに撮影の可否を聞くと、快くOKをくださいました。
店員さんは白装束ではなく、ドムドムバーガーの制服を着て働いています。
霊波之光は食べ物に関する戒律はないため、メニューも他店同様。今回は、この店舗限定で販売されているという「野菜コロッケバーガー」を注文。なお、野菜コロッケバーガーはメニューに記載はなく、時期や仕入れによっては販売していなこともあるようです。
参考記事:番台に座る盗撮犯に料金を支払って事件現場へ入浴 それでも支持される銭湯とは|Mr.tsubaking
出来上がりをまっていると、食事中の人も店員さんも手を止めました。何事かと思ったら、お祈りの時間になったようです。白装束の方がいること以外、普通のショッピングモールの中にいるような感覚になるので油断していましたが、ここは聖地。あらためて緊張感が走ります。
10分ほどのお祈りの時間が終わり、しばらくしてできあがった野菜コロッケバー(セット)。野菜コロッケもポテトも揚げたてサクサクで、たっぷりのキャベツもシャキシャキとしていてとても美味しくいただきました。
その後、敷地内の礼拝堂にも入ってみました。堂内奥には「御守護神様」と言われれる巨像が立っています。信者ではない私にとって、和装の知らないおじさんの像は異様に映りますが、信者の方にとっては聖地であり聖なる姿ですので、静かに堂内の様子を見ていました。
どなたも手を合わせ、口々に「御守護神様、二代様、我等人類救済の道へあゆませ給え」と唱えています。祈りの対象こそ違えど、お寺や神社で手を合わせている人々がいる状況と、なんら変わらない、静謐な空間です。
一緒に食事をとることは「共飲共食」といわれ、古代ローマの宗教では義務であったり、神道でも直会(なおらい)といって、神に捧げたお酒や食べ物を一緒に食べる行為が重要視されたように、どの宗教にとっても大切な行為です。
触れたことのない宗教の聖地という普段は体験のできない場所が体感でき、その中にある霊波之光本部のドムドムバーガーは、そんな共飲共食の一端を担っているという、珍しいスポットでした。(Mr.tsubaking連載 『どうした!?ウォーカー』 第27回)
■ドムドムハンバーガー野田運河プラザ館店
千葉県野田市山崎2683-1 霊波之光教会本部内RHKプラザ館 地下1階
営業時間 午前10時〜午後4時
【関連記事】
●隠れ家的なんて甘い! 京都・四条烏丸の魔窟的居酒屋が最高だった! |Mr.tsubaking
●「隠れキリシタン」の名宝が東京近郊にもあった!? どうやって作ったのか分からない謎の遺作たち!
●世界唯一!? 名曲喫茶ならぬ『名曲床屋』で、身だしなみ整えてきた|Mr.tsubaking