日本を襲う猛暑で心配される福島第一原発事故作業員たちの健康
毎日、三十度を超える猛暑が日本全国を襲っている。普通に暮らしていて亡くなる方がいらっしゃるなど、どう考えても異常な状態にあるのが、日本の夏と言えるだろう。読者の皆さんにおかれましてもくれぐれも日中の外出には日傘を用意したり、水分を補給などして健康には留意して頂ければと思う。
しかし、そうも言っていられない過酷な仕事場と人達が日本には存在する。福島第一原発である。現在、廃炉作業に就いている作業員達である。この猛暑の中、手袋をまき、全身を覆う防護服を着て、放射線被害に備える。頭部も当然防護服で覆われ、マスクで呼吸もままならない状態で作業をするのだ。
ただでさえ、暑いのにこの装備で力仕事をしなければならない。本当に作業員達には頭が下がる。しかし、昨年は深刻な状態が作業員達を襲った。
熱中症による死亡事故である。
また、死亡には至らないまでも、作業員達の拠点であるJヴィレッジには熱中症を訴える人たちが数人と報道するマスコミもあった。推測するに、訴えた人は数人だが実際には黙っている人もいると思われるので、人数は更に増えているのだろう。
僕は、この猛暑を肌で感じるといつも思うのが、福島第一原発の作業員たちである。Tシャツ、短パンになっても暑いのに作業員達の装備を鑑みると想像もつかない。さすがに夏の作業時間は朝早くから始まり、二~三時間の拘束で終わるようだが、それにしても、である。
しかもモチベーションが湧かないのではないだろうか。作業員たちは放射線を浴びながらいつ、終わるとも分からない廃炉作業に従事している。賃金を上げなければ猛暑と放射線の危険にさらされながら作業をする意義が失われていくであろう。
廃炉作業は三十年後とも四十年後とも言われている。もっとかかるという人もいる。事故後二年が過ぎたのに未だ、数千本ある燃料棒のうちの一本しか取り出されていないのだ。「俺たちは何の為にこんな作業をしているのか」と作業員達は疑問に感じていると言う。せめて、賃金を上げなければ「やっていられない」だろう。事実、作業員不足も廃炉作業において考慮しなければならない事態になっている。比較的放射線の危険がない、除染作業の方に原発作業員達は回されているからだ。
現政府においては、こうした「マイノリティ」とも言うべき人達の健康や心情にまで、視線を向けて欲しいものである。まずは選挙、というのも分かるが。
Written by 日刊ナックルズ編集部
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