『JKビジネス』を取り締まるために作られた条例が初めて適用された裁判を見てきました

2018年02月05日 

  • LINEで送る
  • ブックマークする
  • シェアする

s_ikebukuro%20labuho[1].jpg


『特定異性接客営業等の規制に関する条例違反』という罪名の裁判を傍聴してきました。
あまり馴染みのない罪名だと思います。それもそのはず、この条例は2017年7月1日に施行されたもので、僕が傍聴してきた裁判がこの条例が適用された初のケースでした。
この条例はどういうものかというと、一口に言えばいわゆる『JKビジネス』を取り締まるために制定されたものです。以前は児童福祉法や労働基準法で摘発していましたが、この条例が出来たことで以前より容易に摘発出来るようになりました。
社会問題にもなったJKビジネス。裁判ではその業界の一端を見ることができました。

高校卒業後にプロサッカー選手になることを目指して秋田の実家を出て東京の大学に進学した佐々木雅英(仮名、裁判当時31歳)は、夢を諦めて大学を中退してからは飲食の仕事に就いて生活していました。飲食業の経験を積んだ彼は秋田に戻ってしゃぶしゃぶ店を開店することを決め東京をあとにしました。
秋田に戻った彼でしたが、しゃぶしゃぶ店以外に何か"秋田に居ながらにして出来る"ビジネスをしたいと考えました。そこで始めたのがJKリフレ店『PopTeen』でした。

「ニュースでJKリフレについて知った。悪い噂も聞いたけど興味があった。軽い気持ちでやった」

店のツイッターアカウントを後輩に作らせ、そこで女の子の募集を始めました。DMで応募してきた子に対しての面接はありませんでした。18歳未満の子ばかり10名ほど雇っていましたが、彼は彼女たちとは一度も会うことはありませんでした。
客からツイッターのDMで予約が入ると、その日出勤している女の子に連絡をいれて指定したホテルに派遣する、というシステムでした。池袋近辺のホテルを利用することが多かったようです。働いていた児童Aの供述です。

「以前は別のJKリフレ店で働いていて、そこが検挙されたのでPopTeenに移った。18歳未満だということは店長には知らせていて、14歳という設定で働いていた。客付けラインで情報をもらって指定されたホテルに行っていた」

料金設定はホテル代別60分9000円でした。この9000円は全て店の取り分です。お金はツイッターアカウントを作った後輩が回収していました。それ以外に客からもらうお金は全て女の子の収入になります。ここで『裏オプション』が横行していました。裏オプがなければ女の子の収入は1円もないのです。児童Aは、

「客とはセックスしてた。1回でだいたい6~8万円はもらってた」

と話しています。裏オプの値段は客と女の子が交渉して決めています。

次に挙げるのが証拠として提出された客と佐々木のツイッターのやり取りです。

「14ですか?」
「はい、14です」
「値段がわかるとうれしい」
「そこは僕はふみこめないです(笑)交渉頑張ってください」
「ハメあり?」
「おそらく(笑)」

この店を利用していた男の供述でも裏オプについての証言があります。

「JKリフレは表向き女子高生のマッサージ店だけど、セックスができるのは知っていた。どの子でもだいたいいつもセックスできた」

JKビジネスについて、報道では『性犯罪の温床』というような言われ方をしているのをよく耳にしました。しかしその実態は『性犯罪の温床』どころか、性犯罪そのものです。

彼は「女の子に客とのセックスを強要したことは一度もない」と言っていましたが、こうも言っていました。
「女の子が客とセックスするのは業界の常識」

顔も知らない、東京にすらいない店長がラインで出す指示で派遣され、その日初めて会う男とセックスをする少女たち。

ホテルの客室内という密室ではたとえ何が起きても、ただでさえ弱い立場の彼女らを守ってくれる人は誰もいません。

身勝手で卑劣な男が『軽い気持ち』で始めたビジネスは彼女たちから全てを奪いかねないものでした。
彼への求刑は『懲役1年6ヶ月』でした。


取材・文◎鈴木孔明

  • LINEで送る
  • ブックマークする
  • シェアする
TABLO トップ > 社会・事件 > 『JKビジネス』を取り締まるために作られた条例が初めて適用された裁判を見てきました
ページトップへ
スマートフォン用ページを表示する