『俺は元ジャニーズJr.だ!』 罪の意識が全く無い空き巣をどのように裁けばいいのかーー!?

2018年01月31日 

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仕事を終えて帰宅してすぐ被害者の女性は部屋の異変に気づきました。部屋に置いていたノートパソコンや腕時計、アクセサリーケースがなくなっていたのです。彼女が住んでいたのは女性用マンションの一階で、鍵穴の具合がおかしかったので部屋のカギを掛けずに出勤していました。彼女は警察に空き巣の被害を通報しました。

その二日後、彼女はマンションのエントランスに『ジャニーズ金返せ物返せ』などと意味不明なことが書かれたビラがまかれているのを発見します。

空き巣犯が逮捕されたのはさらにその二日後。エントランスで彼女が警察官と事件のことを話している時、見慣れない男が彼女の部屋のドアを開けようとしたのです。警察官はすぐ彼に話を聴きに行きました。

「今、何でそのドア開けようとしてるの?」
「自分の荷物を取ろうと思って...」
「そこ、君の部屋じゃないよね?」
「自宅じゃないですけど、あと、ビラもまきたくて...」

男は邸宅侵入の現行犯で逮捕されました。

平沢翔平(仮名、裁判当時32歳)は秋田県で出生、中学卒業後に専門学校に通うために上京し、専門学校卒業後はパチンコ店従業員などの職を転々として、事件当時は無職で生活保護を受給していました。取り調べでは犯行を否認します。

「盗んだわけじゃない。合宿所に置いてた自分の物を取りにきただけ」

それが平沢の言い分でした。彼は自分の侵入したマンションを住居ではなく『ジャニーズ事務所の合宿所』だと思い込んでいました。

平沢は昔から男性アイドルグループ嵐のファンでした。その中でも特に相葉雅紀くんが大好きでした。理由は『天然だから』だそうです。やがて嵐が好きすぎるあまり『自分は元ジャニーズJr.だ』と思い込むようになりました。彼は友人に『嵐のバックで踊っていたこともある』と話していました。

取り調べにあたった検察官はジャニーズ事務所に『合宿所』と彼のことを問い合わせました。

「そのような人は在籍していないし過去に在籍していたこともない。合宿所のようなものはない」

という返答でした。
この返答を聞かされてようやく彼は気づきました。

「俺...ジャニーズ事務所に入ってなかったんだ...」

逮捕されて初めて、平沢は自分がジャニーズに入ってなかったことがわかったのです。

「逮捕されてよかった...」

と法廷では供述していました。事件の10年ほど前からずっと彼は自分が元ジャニーズJr.だと思いこんで生きてきました。逮捕されなければずっとわからないままだったかもしれません。


もう一度、整理します


平沢は本当に『自分は元ジャニーズJr.だ』と思い込んでおり、侵入したマンションは「ジャニーズ事務所の合宿所だ」と思っていたのです。

「事務所を辞めて合宿所を出る時に荷物を置いていった。それを取りに行っただけ」

彼には犯罪行為をした、という認識は全くありませんでした。
以前から彼は何度もジャニーズ事務所を訪れて荷物を返してくれるように要求をしていました。しかし話は聞いてもらえず、行く度に追い返されました。彼は自分の荷物を返してくれないどころか話さえ聞いてくれないジャニーズ事務所の対応は不当だと感じていました。
ある日平沢は偶然、今回侵入したマンションを発見します。その根拠はわかりませんが、このマンションを『ジャニーズの合宿所』だと思い込みました。そして、中に侵入して『自分の荷物』を取ったり、自分に対するジャニーズの不当な行為を告発するビラを巻いたりしていたのです。

これらの行為は犯罪であり、法によって裁かれなくてはなりませんが、本人に自覚がありません。窃盗と邸宅侵入で起訴されています。しかし盗むつもりはなかったのです。

一体何をどのように裁けばいいのでしょうか?

罪の意識がない彼に与える罰に意味があるのかどうかもよくわかりません。求刑は懲役1年6ヶ月、執行猶予付き判決なら保護観察を付するよう求めるものでした。


取材・文◎鈴木孔明

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