楠田枝里子、ユニット「DORA」、夏目三久、水卜アナという怪物を排出した局 |日本テレビ 1956〜2018年
「長野智子アナって、ひょうきんアナ、だったよな」という回顧から、前回はフジテレビアナウンサーの歴史をプレイバックしてみました。今回はフジのライバルとして切磋琢磨し続けている日本テレビにスポットを当ててみます。
【参考URL】
かつて日本に「女子アナ・ブーム」が巻き起こったことを覚えていますか? |フジテレビ 1961〜2018年
http://tablo.jp/media/entertainment/news003398.html
日本テレビといえば、2018年で開局65周年を迎えますが、最初の女性アナウンサーは昭和31年(1956年)の児玉素子さんであり、その2年後となる1958年には小坂美保子さんが入社したようです。この「ようです」というのは、おふたりについては寡聞にして存じ上げず、筆者は1963年入社の青尾幸アナが最初かと思っておりました。青尾アナといえば報道番組を担当した硬派なアナウンサーであり、1981年のチャールズ皇太子とダイアナ妃の結婚式中継を務めたことが有名です。
その後、1967年には『お昼のワイドショー』のMCとして人気を集めた神山喜久子アナが入社しています。というか、『お昼のワイドショー』といえば、「あなたの知らない世界」が大好きでした。新倉イワオさんの職業がいまひとつわからなかったことも懐かしいですね。
そして、1970年には石川牧子アナが入社します。彼女は報道からバラエティ、スポーツまで何でもこなす才色兼備で、民放キー局で初めて女性のアナウンス部長に抜擢された人物としても有名です。
1974年には楠田枝里子アナと小池裕美子アナが入社。楠田アナはフリー転身後に『なるほど!ザ・ワールド』や『世界まる見え!テレビ特捜部』で人気を博し、小池アナは日テレで女性初のキャスターに抜擢されるなど、ともに才能を開花させています。
1980年代に入ると、80年に井田由美アナ、83年に木村優子アナが入社。日テレの朝の情報番組『ルンルンあさ6生情報』でコンビを組み、清潔兼あふれる美貌でお茶の間の人気者になります。ちなみに『ルンルン~』は女性がメイン司会を務めるという、当時としてはめずらしい番組でした。おそらく、彼女たち2人が日本テレビにおいてタレント的な人気を集めた最初の女性アナウンサーだと思います。
そして、1987年に関谷亜矢子アナと永井美奈子アナが入社したことで、同局女性アナウンサーのタレント化が顕著になっていきます。この両名も『ジパングあさ6』の初代キャスターを務め(月~水を関谷アナ、木~金を永井アナが担当)たことで、アイドルクラスの知名度を獲得しました。
とくに永井アナは、89年入社の米森麻美と91年入社の薮本雅子の後輩2人と「DORA」というユニットを結成。アナウンサーながらCDデビューを果たし、並のアイドルでは太刀打ちできないほどの人気者となっています。そのほかにも、90年代を代表するクイズ番組『マジカル頭脳パワー!!』の二代目アシスタントや24時間テレビの司会などを担当。まさに日テレを代表する看板アナとして活躍し、フジの三人娘と人気を二分するアナドルに成長していきました。
その後も、92年入社の大神いずみ、95年入社の魚住りえ、97年入社の馬場典子、98年入社の柴田倫世と、日テレは個性あふれるアナドルを次々と輩出。とくに魚住アナは『マジカル頭脳パワー!!』の三代目司会者に就任し、永井アナの後継者的なポジションで絶大な男性人気を獲得しました。また、大神アナも『ウンナン世界征服宣言』でCDデビューしたり、『スーパージョッキー』の熱湯コマーシャルを拒否して降板するなどの多彩な話題を提供。後年はクールなイメージのあった馬場アナですが、新人時代は古市幸子アナ(96年入社)と延友陽子アナ(96年入社)と「BORA(ボラ)」という女子アナユニットを結成して、アイドル的な活動をしていました。
ちなみに90年代に活躍した日テレのアナドルたちを見ると、王道路線をひた走っていたフジテレビに比べて、王道から邪道まで多彩な個性が入り混じっていた印象です。
その後、女子アナブームがピークを迎える2000年代には、01年入社の西尾由佳理アナが看板アナの座を射止めます。清潔感あふれるルックスで深夜のスポーツ番組『スポーツMAX』から朝の情報番組『ズームイン!!SUPER』まで、幅広い番組で活躍しました。
ほかにも、03年入社の鈴江奈々アナが深夜番組『エンパラナイト』で、森麻季アナ(03年入社)、脊山麻理子アナ(04年入社)と「エンパラ☆☆ガールズ」というユニットを結成して、男性視聴者の人気を獲得。西尾アナ、鈴江アナはともにフジのアヤパンこと高島彩アナのライバル的な存在として、アナドルブームを支えました。
また、西尾アナの1年後輩になる宮崎宣子アナは、天然ボケのぶっちゃけキャラで〝おバカアナ〟の草分け的であり、フジの〝おバカアナ〟として人気だった斉藤舞子アナのライバル的な存在でもあります。ただ、純粋に〝おバカ〟だった斉藤アナと少し違い、彼氏ネタを暴露したり、お色気発言を連発するなどして差別化を図り、独自の人気を獲得していました。
とはいえ、2000年代はアヤパン、ナカミーというフジのツートップが圧倒的な勢力を誇っていたことで、どうしても日テレを含めた他局のアナドルは小粒感が否めませんでした。
しかし2007年、日テレは女子アナブームの頂点に立つことを期待させる夏目三久アナという逸材が入社します。彼女は抜群のルックスで入社前からメディアの注目を集め、1年目から『おもいッきりイイ!!テレビ』のアシスタントに抜擢。日テレ開局55周年の企画では鈴江アナ、葉山エレーヌアナ(06年入社)とともに「go!go!ガールズ」というユニットを組み、瞬く間にトップアナドルの道を驀進していきます。というか、どれだけ日テレはユニット好きなんでしょうか。
しかし、夏目アナはいろいろな意味でレジェンドともいえる〝コンドーム事件〟であえなく退社。そこから数年はアナドル冬の時代が続きますが(個人的に08年入社の小熊美香アナはエロくて大好きでしたが)、2010年に入社した水卜麻美アナが厳しい状況を打破することになります。
彼女が入社した2010年といえばフジのショーパンこと生野陽子、カトパンこと加藤綾子という二枚看板が絶大な人気を集め、水卜アナは路傍の石という程度の知名度でした。
しかし、2011年に担当した『ヒルナンデス!』の飲食レポートで豪快な食べっぷりが好評を博し、あっという間に人気者となります。そして、オリコンの「好きな女性アナウンサーランキング」ライバルだった女王だったカトパンを破り、2013年から2017年まで5年連続で1位を獲得して殿堂入りを達成。
また、2017年には明治安田生命保険による調査「理想の女性上司」で絶対王者だった女優の天海祐希を破って1位の座に輝き、翌年調査でもV2を果たしました。大食いという女性アナウンサーらしからぬ特技(?)でここまでの結果を成し遂げた水卜アナですが、まさに個性派アナドルを数多く輩出してきた日テレらしいアナドルと言えるでしょう。
水卜アナという逸材を抱えたことで、いまや女子アナブームをリードする局となった日本テレビ。しかし、女王が偉大すぎるあまり、勢いのよい後進の存在感が薄いのが少し心配かも...。今年の開局65周年では若手たちによる新たな女子アナユニットを誕生させて、「次世代のエースもいるんだぞ!」というところを見せてほしいですね。(文◎百園雷太[女子アナ・ウォッチャー])
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