今回はゴールデンウィークにぴったりの陽気な話を。
「冷蔵庫マン」という芸人を皆さんご存じだろうか。私はこの連載のスタート早々に彼のことを書いた。
【真相ルポ:「冷蔵庫に9年入っている男」が実在した!プチ鹿島の世相コラム~余計な下世話!】
あれから2年。近況をまたご報告する。
私が冷蔵庫マンこと飯塚俊太郎さんにお会いしたのはもう十数年前になる。お世話になっていた舞台監督さんに頼まれて舞台の仕込みを手伝いにいくと、ピンクのズボンにド派手なシャツの異様な人がいた。周囲の人が気を使って私たちに説明してくれた。「あ、あれは飯塚さん。まだ若手だよ」。
その若手はすでに40歳を過ぎていた。
そのあと何年も空白があり再会は突然やって来た。ライブに出ると「冷蔵庫マン」という会場をザワザワさせる芸人がいた。それが飯塚さんだった。
そのときすでに40代中盤。それ以来、会うたびに「なぜこの人は毎日楽しそうなのか」と思うようになった。
聞いてみると、もともとは役者志望で、文学座(附属演劇研究所本科)を受験したら1000人の中から60人の研究生のひとりとして合格してしまったエリートだった。しかし卒業試験に落ちてしまい、ショックで一週間寝込んだら驚くことに歩行困難になり、本当に寝たきり生活になってしまったという。回復後しばらくサラリーマン勤めをしていたが、好きなことをやろうと決めて現在があるという。
そんなバックボーンがあるせいか、普通に生きていても厳しい現代を飯塚さんはゴキゲンに生きている。
2010年には49歳で結婚。「新婚さんいらっしゃい!」にも出演。番組内でネタも披露し、ツイッターのHOTワードに「冷蔵庫マン」が一瞬だけ浮上した。
奥さんがまたバリバリの業界人で、実はいま冷蔵庫マンは「主夫」生活をしている。あるドキュメント番組で映し出された自宅は相当な良い部屋で、いつのまにか冷蔵庫マンは「逆玉の輿」に乗っていたのだ。
今は家事が終了したあとに段ボールを工作して自分のネタ作りをするという。
5月2日、「Tシャツラブサミット」というイベントで久しぶりに飯塚さんにお会いした。今回は映画『シンデレラ』のドレスと髪型を段ボールで実現。しかし内容は『ソロモンの偽証』の漫談をしていた。無茶苦茶だ。
最後に飯塚さんは「今日は俺の誕生日だ!」と舞台上で叫んだ。いくつになったんですか?と聞くと、「54歳」。
オバマ米大統領と同い年だった。なんだか会場のお客さんも元気をもらっていた。
今の時代の貴重な成功者だと思います。
Written by プチ鹿島
プチ鹿島●時事芸人。オフィス北野所属。◆TBSラジオ「東京ポッド許可局」◆TBSラジオ「荒川強啓ディ・キャッチ!」◆YBSラジオ「はみだし しゃべくりラジオキックス」◆NHKラジオ第一「午後のまりやーじゅ」◆書籍「うそ社説 2~時事芸人~」◆WEB本の雑誌メルマガ ◆連載コラム「宝島」「東スポWeb」「KAMINOGE」「映画野郎」「CIRCUS MAX 」
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