新山千春すごかった。1週間たった今もいろいろ考えてしまう。
《タレントの新山千春が12日、テレビ朝日系で放送された「しくじり先生 3時間スペシャル」に出演。自身が何度も経験してる"ブログ炎上"について「炎上ブログは金になる」と断言した。》(デイリースポーツ 10月12日)
記事の見出しだけみると過激だが、とても丁寧につくられた内容だった。新山千春がブログでの炎上をふりかえり、そこから学んだことをプレゼンするという内容。2008年に娘がスーパーのコロッケを購入前に食べてしまったことを明るくブログに書いたら批判が殺到。そこから「主婦層との7年戦争」があったと告白。その後も炎上が続いた。しかし、コメントを書いた人はリアクションをチェックにくるからブログのアクセス数が多くなり、結果、注目度も上がって仕事につながったと新山千春は言う。
番組は「新山先生」の挑発的にみえる発言を織り込みながらも、生徒たちに責められ、笑わせ、最後に先生は教訓を教えてくれる。
「私は結局あざといんです」「ファンとアンチは半々で丁度いい」「褒めてくれる人よりも叱ってくれる人の言葉を聞こう」
どうだろう、ここまで本人に言われたら、もう文句を言うのも野暮になると思わせる結末だった。アンチのこの気分。そういえば私も体験がある。90年代初め、学生だった頃に毎週買うのが楽しみだったのが「週刊プロレス」だった。「活字プロレス」を生んだターザン山本編集長(当時)はどの団体よりも圧倒的にファンの支持を集めた。しかしメガネスーパーが新団体をつくったとき「金権プロレス」とバッシングした。その情緒的な攻撃や「ムラ」的な対応に呆れ、私は週プロを買うのをやめた。
でも、その後コンビニで「あ、またこんなこと書いてる」「なんて言いぐさだ!」といちいちチェックして憤っている自分がいるのである。そして気づいたのだ。アンチになればなるほど「今週の週プロ(ターザン)は何を書いているのか」とますます気になってしまうパラドックスに。いちいちチェックしてしまうアンチの誠実さに。これでは完全に私の負けである。
この無限地獄から脱出するためには、私がターザンに関心がなくなるか、もしくはターザン自体の影響力がなくなるか、どちらかである。幸か不幸かその後どちらの展開にもなり、私のアンチ体験は終わった。今ではあのときアツく物事を考えさせてくれたターザン氏には感謝の気持ちしかない。本当に「良い先生」だったと思う。
アンチは「チェックにくるからブログのアクセス数が多くなる」。本人側からすれば「ファンとアンチは半々で丁度いい」。私もあの頃見事に踊らされていたことになる。新山千春の言葉を聞きながら、自分のアンチ体験を思い出してしまいました。
Written by プチ鹿島
プチ鹿島●時事芸人。オフィス北野所属。◆TBSラジオ「東京ポッド許可局」◆TBSラジオ「荒川強啓ディ・キャッチ!」◆YBSラジオ「はみだし しゃべくりラジオキックス」◆NHKラジオ第一「午後のまりやーじゅ」◆書籍「うそ社説 2~時事芸人~」◆WEB本の雑誌メルマガ ◆連載コラム「宝島」「東スポWeb」「KAMINOGE」「映画野郎」「CIRCUS MAX 」
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