プチ鹿島の「余計な下世話」

"女優のカボチャ騒動"をオヤジジャーナルはどう報じたのか!?|プチ鹿島の『余計な下世話!』

2015年12月15日 オヤジジャーナル プチ鹿島 自殺未遂

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 そろそろ2015年も年末。私がふだん親しんでいるオヤジジャーナル(おじさんによるおじさんのためのメディア)もいろんな報道がありました。今回ふりかえってみたいのは「女優のカボチャ騒動」である。

 11月上旬、ある女優が「カボチャを包丁で切ろうとして手を滑らせ手首を切ってしまった」という事件があった。事件と書いたのは一部のニュース番組では自殺未遂と報じられたからだ。女優はそのあとすぐに復帰し、自身も料理中のケガだったことを報告しているから今回ここではあらためて名前は明記しない。それよりも私が伝えたいのは、あのときのオヤジジャーナルについてだ。報道を読み比べると「オヤジジャーナルここにあり」という記事がいくつかあったのである。

●猜疑心の強さこそオヤジジャーナルの醍醐味

 東スポは「確かにカボチャの皮は硬く、切ろうとしてうっかり手を滑らせればケガをすることもあるだろう。だが、最近では電子レンジで加熱した後に包丁を入れる方法が一般的に知られている」と、本人からすれば大きなお世話な「カボチャ調理法」の部分から推理していた。

 スポニチは北海道の農園に「カボチャで手首切ることある?」と聞いていた。カボチャの産地である富良野の農園は「まぁ、硬いのでなくはないでしょうが」「指や手を切るという話はよくありますが、手首は・・。逆に器用な方ですね」とコメント。

 そのあとスポニチはこう書く。「農園では、購入者には電子レンジにかけて軟らかくした後に切ること勧めており」「電子レンジにかけたからといって、味や栄養は変わらない」。

 またしても「カボチャは電子レンジで」情報!オヤジがこだわる電子レンジ調理法。もっと独自の推理をはたらかせる新聞もあった。女優が行きつけだというスーパーに取材にいった日刊ゲンダイである。ゲンダイは調理法ではなくてカボチャのサイズに目をつけた。そして見出しはこうだ。

 『自宅近くのスーパー困惑 「4分の1カットしかおいてません」』

 このあたりのスーパーではすべて4分の1カットのカボチャしか置いていないという従業員の証言を載せる。つまり、このサイズからさらにカットするのはそんなに困難ではないはず、という見立て。ちなみにカボチャは1個88円だった。

 どんなに小さくカットされていても、包丁の使い方次第で「切るときは切る」と思うのだけど、ここまで現場に足を運んで「本当にカボチャで手首を切るのか」と疑う姿勢は読みどころがあった。オヤジジャーナルの猜疑心、ここにあり。

 あのカボチャ騒動を総括すると、オヤジジャーナルを読んだおじさんは「カボチャは電子レンジでまず軟らかくする」というミニ情報をとりあえず確認できたと思います。

Written by プチ鹿島

Photo by travis spencer

プチ鹿島●時事芸人。オフィス北野所属。◆TBSラジオ「東京ポッド許可局」◆TBSラジオ「荒川強啓ディ・キャッチ!」◆YBSラジオ「はみだし しゃべくりラジオキックス」◆NHKラジオ第一「午後のまりやーじゅ」◆書籍「うそ社説 2~時事芸人~」◆WEB本の雑誌メルマガ ◆連載コラム「宝島」「東スポWeb」「KAMINOGE」「映画野郎」「CIRCUS MAX 」

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教養としてのプロレス

疑うことで見えることもある。

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