先週もっともザワザワしたのが「うどんかるた "不適切"販売中止」というニュースだ。 香川県がつくった「うどんかるた」についてクレームが寄せられたため、県は販売を延期したというもの。「問題」となったのが「強いコシ 色白太目 まるで妻」という句。
《全国から作品を募集。10月上旬に県と有識者からなる委員会が「あ」から「ん」まで全46作品を選定した。県などが今月12日に開いたイベントで全作品を発表。14日に外部から「悪いイメージで受け取られる可能性がある」と指摘があったという。》(スポーツ報知・12月16日)
●香川県の担当部署に電話して驚いたクレーム件数
どんなクレームだったか。どれほどのお叱りが殺到したのか、とても気になる。私はTBSラジオ「荒川強啓デイ・キャッチ!」でニュースプレゼンターを担当させてもらっているので、番組でさっそく香川県の担当部署に電話して聞いてみた。
「そもそも"うどんかるた"って何ですか?」
「県内のうどん業者が中心となって"年明けうどん"というキャンペーンを2008年頃からやっています。年越しそばがあるなら年明けうどんがあってもいい、と。紅い食品(明太子、カニカマなど)をうどんにのせて正月に食べます。白いうどんとあわせて「紅白」でおめでたいという意味です」
その年明けうどんの普及の一環として「うどんかるた」を制作したという。
「今回の"強いコシ 色白太目 まるで妻"という句。いったい何件クレームがきたんですか?」
「1件です。」
なんと、たったの1件だった。クレーム主の性別や年代をたずねたら「非公表」という回答。過剰反応では? そう尋ねると「今回に限っては......。イメージが悪くなるといけませんので......」
どうも歯切れが悪い。実は調べてみると香川県が過剰反応になった伏線らしき「事件」があった。10月末の「おいでまいキャンペーンガール事件」である。香川が誇る県産米「おいでまい」をアピールするために県がキャンペーンガールを募集した。その際のコピーが「フレッシュで透明感があり、色白でスタイルの良い女性」。容姿を具体的に条件にしたことで批判を浴び、コピーは撤回された。
今回あのときの苦い記憶が一本の電話で一気によみがえり、結果的に過剰反応になったのではないか。そう尋ねると「あの件とは性質が異なりますので一緒にできませんが......。とにかく年明けうどんのイメージが悪くなったらいけませんので......」。電話口の担当者は答えてくれた。
「強いコシ 色白太目 まるで妻」と「フレッシュで透明感があり、色白でスタイルの良い女性」。期せずして色白案件が重なったのは、やはり慌てた一因だと思われる。今年は「白紙撤回」がいろいろあったが、香川県の場合は「色白撤回」が相次いだことになる。
それにしてもクレームである。堂々と批判するならまだしも「悪いイメージで受け取られる可能性があるのでは?」という言い方。クレームの「当事者」にもなろうとしない姑息さ。陰湿だ。
このあと香川県から他のかるたの句を資料としておくってもらった。「に」の句をみてみると「人間も うどんも踏まれて コシ強く」とあった。教訓としたい。
Written by プチ鹿島
Photo by 香川県「うどんかるた」より
プチ鹿島●時事芸人。オフィス北野所属。◆TBSラジオ「東京ポッド許可局」◆TBSラジオ「荒川強啓ディ・キャッチ!」◆YBSラジオ「はみだし しゃべくりラジオキックス」◆NHKラジオ第一「午後のまりやーじゅ」◆書籍「うそ社説 2~時事芸人~」◆WEB本の雑誌メルマガ ◆連載コラム「宝島」「東スポWeb」「KAMINOGE」「映画野郎」「CIRCUS MAX 」
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