先日ライブに来たお客さんに「自民党の谷垣禎一幹事長が自転車で転倒したことについて」聞かれた。そのときは内閣改造前だったのだけど、たしかに気になる話題だった。
「あの"自転転倒"が分岐点だったとあとから振り返られる可能性も。」と私は答えた。
というのも文字通り想定外だからである。政局でなく、事故で新しい人事を考えなければいけない。対応次第では小さなさざ波が大きな渦に変化していく。
新聞報道では、谷垣氏の続投が無理なら、候補のひとりとして「岸田文雄外務大臣」の名前があがっていた。しかし、ポスト安倍を狙う岸田氏に幹事長というパワーを簡単に安倍氏があたえるだろうかという論調もあった。幹事長に就任したのは二階俊博氏だった。
先日当コラムで、
《オヤジジャーナルを読んでいると、安倍首相にとって「自民の裏番長」二階氏は敵に回すとやっかいな重鎮で、大切な人物だとわかる。二階氏は自分でもその威力は承知しているようで、総裁選では安倍支持を誰よりも先に表明して恩を売っている。》
と書いた。
二階氏は世間的には地味だが、存在感で言えばかつての野中広務のようなタイプ。最近は自派閥の拡大にも励んでいる。そのせいか去年こんな記事が。
「中川・門"路チュー不倫"を生んだ肉食系二階派の風紀」(「週刊文春」2015年3月19日号)
《「親分はコワモテですが、二階派は、若手議員から『雰囲気がいい。楽しい』と人気派閥なんです。当選3回以下の若手が大半を占め、合宿や飲み会が多い。若さと一体感があり、他派閥が獲得に二の足を踏む"訳あり"も積極的に受け入れてくれる"懐の広さ"もある」(自民党関係者)》
今年、不倫辞職となった宮崎謙介氏も二階派だった。派閥拡大に走りすぎて妙な議員も集ってしまった。しかし、谷垣氏の自転車転倒という正真正銘の「アクシデント」で幹事長職に空白ができた。安倍氏は二階氏を指名。これ、なかなかの「政変」だと思う。
今年5月。二階氏は都内の講演会で「安倍総裁の任期延長、あり得る」と発言した。そんな二階氏を緊急対応とはいえ幹事長にした。谷垣氏の転倒がきっかけで、安倍首相の任期延長という腹の内も「むき出し」になってしまったようにみえる。
こうなるとポスト安倍の人たちもザワついてくる。石破茂も最近になって存在感を出そうとしてる。すべては、谷垣氏の自転車転倒から静かに始まった気がしてならない。
谷垣氏の自転車転倒事故が今後さらにどういう変化を呼ぶか、注目である。
Written by プチ鹿島
Photo by http://www.tanigaki-s.net/
【関連記事】
●スポーツ紙による"SMAP解散報道"の情報戦を読み解く|プチ鹿島の余計な下世話!
●伝説の横綱・千代の富士とあのプロレス団体の交流秘話|プチ鹿島の余計な下世話!
●あくまでジャーナリスト風なだけ!? 見えたきた鳥越俊太郎氏の正体|プチ鹿島の余計な下世話!