新聞や週刊誌、タブロイド紙を読み比べるのが大好きな私です。とくにゴシップ系の記事を「半信半疑」で読むのが大好き。
ゴシップは真偽不明の噂が多いが「そういえばあの時の記事って当たってたな」とあとから感心する場合もあるので馬鹿にできない。なので気になる噂は脊髄反射して反応せず、とりあえず心に留め置いておく。私はこれを「ゴシップを寝かせておく」と名付けている。
しかし、今回そんな楽しみ方が奪われた話題があった。「オフィス北野の内紛」である。
森社長やたけし軍団さんらがバトルしあい、さまざまな記事が書かれた。本来なら半信半疑で記事を楽しむのだけど、私もオフィス北野所属という当事者なので、記事によっては明らかに「これは違うだろ」と最初から興醒めしてしまうものがあったのだ。
まずはこれ。
『たけしお家騒動で浮上した「オフィス北野」営業手法への疑問』(女性自身WEB・4月06日)
記事を読んでいくと「テレビ局関係者」のコメントとしてこんなことが書かれていた。
「たけしさんが独立する前、『オフィス北野』にはダンカンさんや博士さんを筆頭に20人以上の軍団メンバーが所属していました。ただその営業手法には疑問の声が上がっていました。というのも事務所のマネージャーが『たけしさんの意向』とうたい、たけしさんの番組に軍団をバーターで押し込もうとしていたそうです。結果、強引なバーター提案に苦手意識を持つ局担当者が増えていっていました......」
まったくの嘘である。
ここで書かれているのとは逆で「オフィス北野はバーターをしない」ことで有名だからだ。私が北野に入った6年前、水道橋博士さんから最初に言われたのもこれだった。つまり「妙な期待はするな」と。
テレビやお笑いに詳しい方ならちょっと思い浮かべて頂ければわかると思う。ビートたけしさんの番組に北野の若手がセットでいるのを見たことがありますか? ないでしょう。
たまたまこの記事が出る直前(つまり先週)、たけしさんともよく仕事をしてきた業界の方から「オフィス北野ってバーターしないよね。それが殿の美学だよねぇ」と言われたばかりだった。だからこの正反対の記事には驚いたのである。
バーターをやらないからこそ、たけしさんの番組に出れたときは本当に嬉しかったのです。
続いての記事はこちら。
『タレントを育てて売る...「オフィス北野」が忘れていた基本』(日刊ゲンダイ・4月5日)
この記事は二田一比古さんというジャーナリストの方が書いたものですが、気になる記述があった。
《軍団が結成されてすでに30年を超えるが、完全に一本立ちしているタレントは少ない。》
《「タレントを絶やすことなく育てて売る」という芸能事務所の基本を忘れていたように思う。》
という部分です。
前者は軍団さんのことを書いているのかもしれないが、「タレントを絶やすことなく育てて売るという芸能事務所の基本を忘れていたように思う」とまで書かれるとちょっと待って! と言いたくなる。
なぜなら我々がいるからだ。
「非軍団系」の芸人では、私プチ鹿島やマキタスポーツ、サンキュータツオ、居島一平は毎日仕事をしている。私で言うならこの春からレギュラー番組が2本増え(ありがとうございます)、現在は週にラジオ4本、テレビ2本、AbemaTV1本、原稿は月に15本ほど書いている。他の3名もレギュラー番組や連載を多数抱えている。ちょっとしたプロ野球選手の年俸くらいは稼いでいるはずだ。
みんな毎日仕事で忙しいのです(だからマネージャーさんがいなくなるのは困るのだけれども......)。
これでもオフィス北野はタレントを育てていないというなら、ただの取材不足である。どうせゴシップを書くなら当事者も半信半疑でドキドキワクワクするような記事を書いてください。
それにしてもオフィス北野はどうなるのでしょう? どなたか逆取材させてください。絶賛困惑中です。(連載・プチ鹿島の「余計な下世話」)
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