Twitterでとあるユーザーが「居酒屋にぼったくられた」と、妙に高いチャージ料・お通し代などが記載されたレシート画像をアップしたことが発端となり、思いもよらない展開を見せている。
通常はこうした情報が出回っても、一瞬だけ話題になって忘れ去られるのがこれまでのお約束だったのだが、ネットでの炎上と追求に驚いたのか、経営元の会社社長が「やらなくていいこと」をし、余計に自分を追い詰めてしまっているのだ。
まず、今回話題になったぼったくり居酒屋は、新宿の個室居酒屋『風物語』というお店だった。(食べログ http://tabelog.com/tokyo/A1304/A130401/13169642/)
ここからネット民達の調べにより、大本が高田馬場にある海野屋という会社であること、代表者が太田欣也氏であること、同系列のお店リストなど、様々な情報が明るみになっていった。
そんな中、それまでは「事前に説明した上での会計だ、何も問題はない」という対応を続けていた海野屋が、ホームページを削除するという事態に発展する。また食べログなどで系列のお店を調べると、見たこともないような低い点数の口コミが書き込まれていたのだが、それらがすべて削除されてしまった。
こうした流れの中で最後に登場したのが「海野屋の謝罪文」である。この謝罪文で海野屋は「不正な会計をするスタッフがいた」など言わなくていい事を言ってしまっており、本人は火消しをしているつもりでも、水の代わりにガソリンを撒いているような話になってしまっている。
海野屋が主張する「勝手に不正な会計をするスタッフがいた→(だから会社としては健全である)」が事実なのであれば、次に突き付けられるのは「じゃあ不正を働いたスタッフを警察に突き出せよ」であろう。
従業員が会社に無断で不正な会計をしていたとすれば、その目的は横領以外にない。しかも今どきのPOSシステムを考えれば、昔のようなレジ金をパクる的な手法は使えないのだから、店長など店の金の管理をしている人間が犯行に加わらない限り実行は不可能だ。ここまで犯人が絞り込めるのだから、後は警察にお任せして事件化するだけである。果たして海野屋はそれをやるだろうか。もしそれをしないのであれば、もう答えは「海野屋が主導してやらせていた」以外になくなる。
今回の謝罪文は自分に対するトドメの一撃だったと言えよう。普通はこのような炎上騒ぎになって何か公式アナウンスをするにしても、犯罪性があったと自ら認めるような言葉は使わない。せいぜい「各店舗の料金体系を見直し、よりお客様に楽しくくつろいでいただける店作りを~」といったところだろう。何を考えてこのような謝罪文を出してしまったのか理解に苦しむ。
さて、海野屋の話はこの辺にして皆様に注意喚起を。今回の騒動の舞台となった新宿には大勢のキャッチがおり、そうしたキャッチに集客を依頼している店は十中八九トンデモ系の店である。近頃はグルーポンおせち問題や殺人ユッケ事件など、食の知識もへったくれもない人間や世間を舐めた人間が飲食に手を出し大事件(および事故)を巻き起こしているが、いつそうなってもおかしくない店だからこそ評判が悪く、キャッチを使って客を集めているのだ。新宿に限らず、駅周りなどで「お客様、呑みの方は?」などと声をかけられても絶対に着いて行ってはいけない。
また特に気を付けて欲しいのが、信用できる店以外では食中毒などのリスクの高い食べ物は口に入れないという点である。キャッチに捕まって入った店で牡蠣や生肉やフグを食べるなど、文字通り自殺行為だ。無茶苦茶な経営をしている店に食品に精通している職人がいるとは考えづらく、むしろその手のヤカラが最初にコストカットするのが "信頼できるプロに払う金" だと考えよう。
最後に、今回の騒動のようにあまりにおかしな会計をされた場合は、レシートや従業員の言質など、証拠になる物を確保すること。いまはスマートフォンを使えば簡単に動画が撮れるのだから、この会計に間違いはないと責任者に言わせ、その様子を許可を得て撮影した上で消費者センターに駆け込む。それを拒むようであれば、金を払わずその場で警察を呼ぶ。自分達がブラックな手法を使っていると自覚があれば、だいたいはこのやり取りの途中で店の側が折れるだろう。
ただし、そのようなやり方をしていいのは、明らかに店の会計がおかしい場合のみである。チャージ・席料やお通し代を取られたというだけでゴネたり、従業員を無許可で撮影してネットにばら撒いたりすれば、警察のご厄介になるのは客の方だ。この辺りのバランスをよくよく考えた上で然るべき対処をしよう。
Written by 荒井禎雄
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