多くの人が行き交うショッピングモールでは、他人の迷惑を顧みず自己中心的な振る舞いをする迷惑客が数多く存在しており、その店の有名人となって仇名をつけられている者まで存在している。今回は、キャリア16年目の現役保安員である筆者が、ショッピングモールにいる迷惑客について語る。
●備品の大量持ち去り、トイレへの立てこもり...迷惑客の生態
食品フロアにおける迷惑客の代表例は、青果売場や生鮮食品売場、サッカー台などに配備されたビニール袋を大量に持ち去る行為だ。なにを買うわけでもなく試食に勤しみ、惣菜売場に設置された醤油やガリ、割り箸などだけを鷲掴みにして出ていく者も珍しくない。また、生鮮食品を持ち帰るために配備された氷も、迷惑客が好むサービスだ。なにに使うのか、大きなポリ袋を持ちこみ、それを満杯にして持ち帰る猛者もいる。そうした人物に限って、なにひとつ買うことなく、氷だけを持ち去っていくので始末が悪い。店の警告を無視して、日々、大量の氷を持ち去り続けた迷惑客が逮捕される事案もあった。提供品の持ち去り被害に悩む商店は、被害申告を視野に入れた対応を検討すべきだろう。
一度手にした商品を適当な売場に放置する迷惑客も目立つ。冷蔵環境の必要な果物や生鮮食品を、菓子売場などに放置していくのだ。商品を戻しに行くのが面倒なのだろうが、放置された商品は売り物にならない。違法行為ではないものの、店内に商品をばらまく人をみる度に、その神経を疑ってしまうのである。
値引きシール目当ての客の中にも、浅ましく厚かましい迷惑客がいる。半額シールが貼り出される時間は閉店間際であるが、少し早めに来店して狙った商品をカゴにキープすると、そのまま店内に居座り、店員が現れると同時に割引シールを貼れとカゴの中の商品を差し出すのだ。それに一度でも応じてしまえば、半額狙いの客全員に同じ対応をしなければならないので丁重にお断りする訳だが、それがクレームを生み、人種差別だと大声で喚き散らすアジア系外国人もいた。人は、どれだけ厚かましくなれるのだろうか。その厚顔無恥ぶりには、いつも辟易とさせられる。
極めつけは、トイレの私物化だ。個室内で寝る者や万引きした弁当を食べる者もいれば、洗濯をしたり、身体を洗う者まで存在している。売り物の衣料品をトイレに持ち込み、金を払わないまま着替えて、その値札や防犯タグを流して配管を詰まらせる者も珍しくない。つい先日には、盗んだブリーチで髪の毛を染めている高校生を捕らえ、危険ドラッグを吸引していた三十代の男を警察に引き渡した。トイレの居心地がよいほどに、こうした輩は集まる。身近な買物スポットであるショッピングモールのトイレは迷惑客の巣窟なのである。
Written by 伊東ゆう
Photo by Georgie Pauwels
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