女児の遺体を山に埋めた、ある刑事たちの犯罪…映画『殺人の追憶』事件の”番外編”|李策
韓国で1986年から起き始めた華城(ファソン)連続殺人事件は、2019年に真犯人が明らかになったことで李春在(イ・チュンジェ)連続殺人事件と呼び名が変わった。李春在による殺人の犠牲者は14人に及ぶ。そして今年2月、うち1件の犯人と誤認され、20年にわたり無実で獄中生活を送ったユン・ソンヨさんが、25億1700万ウォン(約2億4000万円)の刑事補償金を受け取ることが決まった。
でっち上げ捜査がもたらした「利益」
14件の殺人、34件の強姦および強姦未遂を犯した李春在の悪行は、事件としての区切りがつくまで35年もの月日を要した――と、韓国においても多くの人々の間で認識されている。
だが実は、いまだ区切りのついていない事件がひとつある。1989年7月に華城で発生した、キム・ヒョンジョンちゃん(当時8歳)の失踪事件だ。
ヒョンジョンちゃんはすでに殺害されていることが、犯人である李春在の供述により明らかになっている。この事件の解決を阻んでいるのは李春在ではなく、当時、捜査に当たった韓国の刑事たちなのだ。