日本と朝鮮半島を海底トンネルで結ぶ!? 統一教会が作ろうとした「日韓トンネル」 

ここが日韓トンネルの入り口か。

2022年7月8日、安倍晋三元首相が参議院選挙の応援演説中に撃たれ、命を落とした。享年67歳。
背後から安倍氏を撃った山上徹也容疑者(41)は取り調べで、動機を次のように語っている。

「母親が(宗教)団体にのめり込んで破産した。安倍氏が団体を国内で広めたと思い込んで恨んでいた」

ここでいう団体とは世界平和統一家庭連合である。この団体は統一教会(統一協会)という名前で知られている。
統一教会といえば、80年代後半から90年代前半にかけて、毎日のように耳にした名前だ。見知らぬ外国人同士を集団で結婚させる合同結婚式や壺などを法外な値段で売りつける霊感商法といった彼らの手法にマスコミの非難報道が集中した。

カルトの印象が強い統一教会だが、日本と韓国を海底トンネルで結ぼうとする「日韓トンネル」の建設に深く関与している。これは、玄界灘にほど近い佐賀県の北部の山中から韓国南端の大都市、釜山までの約200キロを結ぼうというもの。僕は2008年の秋、そのトンネルの日本側の入り口を見に行ったことがある。以下、訪問したときのことを記してみる。

 

●実在した日韓トンネル

それは玄海原子力発電所のさらに道の奥にあった。 現場の「正門」には門柱があり、「極東開発株式会社 名護屋調査斜坑」とある。さらに門柱の左側フェンスには「コーダ技研(株)名護屋作業所」「通行中の皆様へのお知らせ」として発破を行う旨が記されている。開いている門から工事現場の敷地内に入る。祭日だからか誰もおらず、閑散としている。

大規模な工事現場なことが分かる。

敷地の中央奥は線路の鉄橋のようで、右上から左下へとすこしずつ傾斜している。線路はトンネルの入口へと続いているようだが、入口はネットで覆われていて中は見えない。傾斜している線路は途中、屋根と左右の覆いで囲まれているところがあり、覆いの隙間から使われていない作業用車両が二両置いてあるのが見える。

トンネル見学の許可とインタビューのために、プレハブの事務所を訪ねた。事務所は二階立てで一階部分は資材や工具、バイクなどがおかれている。その一端に穴があり、「開口部使用中注意」のプレートが掛けられている。この穴が「斜坑」に通じているのだろうか。
僕はトンネル工事の責任者らしき50歳ぐらいの人物に声を掛けた。

突然の訪問に作業服姿の「社長」は不信感をあらわにした。

「どこから来た」「何を調べているんだ」

――素晴らしい計画があるときいて、見学に来ました。

そう言ってから、僕の方から「社長」にいくつか質問してみた。

――ここで行なわれている工事はどのようなものなのですか。

「日韓トンネルのことは日韓トンネル研究会に聞いてくれたほうがいいんだが。ここでは調査坑を掘っている」

「社長」によると工事の進捗は以下の通りである。
「工事はやったりやらなかったりしている。今までに全長600メートル、深さ120メートル、傾斜14度。ここがだいたい標高70メートルぐらいだからマイナス40メートルのところまで、掘ったことになる。ここは調査坑で海底から何メートルの深さなら水がしみ出てこないかを調べている」

これで今は工事がストップ。