RIZIN榊原信行代表とは何者か 「ファンは私に卵を投げて欲しい」「将来、朝倉未来とはプロデューサーとして対峙する」

「トランプのように無茶をしたい」(榊原代表)

来たる4月29日に開催される「FEDELTA presents RIZIN LANDMARK5 in YOYOGI(以下、 RIZIN LANDMARK 5)」がファンの間で盛り上がっている。格闘技ファンとしては、かつてのPRIDE・K-1時代のような「熱狂」が訪れるのではないかーーそんな思いを抱いているだろう。

2015年から始まった国内総合格闘技の頂点「RIZIN」。2017年に堀口恭司の参戦。2018年には朝倉未来・海などの登場。2022年には何と言っても世紀の日本人対決「THE MATCH 2022(以下、THE MATCH)」那須川天心VS武尊の実現。コロナが明けて、ようやく海外選手が日本に来日して、世界との闘いが「ベラトール対抗戦」で見ることが出来た。ツイッターのトレンドでは大会が開かれる度に「RIZIN」関連の単語が並ぶ。

かつてPRIDE・K-1時代には「無党派層」にまで届いていた格闘技熱。その時代にまで取り戻してきているのだろうか。「物言うプロデューサー」榊原信行CEOに国内格闘技の現状と将来像を聞いてみた。

 

●格闘技やプロレスが通らなければならない「世間との戦い」

榊原信行代表(以下・榊原代表) 去年は『THE MATCH』をプロデュースしました。プロレスも含めてキックボクシング、総合格闘技、あらゆるジャンルのリングスポーツにおける頂点のようなイベントだったと思うんですよ。そこでピークアウトして、少し落ち込む部分もあるのかなという気はしていますけどね。

――WBCで日本が優勝しました。僕は、今後の格闘技の位置づけって公共性、公益性を野球やサッカーぐらいまで高めてもいいのかなと思っているんですけど。

榊原代表 オリンピック競技に紐づいたメジャースポーツ以上に社会的な影響力とか求心力は格闘技のコンテンツにはあるというのは、実感としては持っています。ただ世の中での評価は低いかな(苦笑)。WBCとかワールドカップになっちゃうと、そこには太刀打ちできない。でも、日本のプロ野球熱とは遜色ないし、それ以上の部分も格闘技コンテンツにはあるんじゃないかなと思っているんだよね。

――僕は最近、あらためてPRIDEを観ているんですけど、格闘技をまったく知らない人が大晦日に選手の名前を叫んでいたのを覚えているんですよ。何が言いたいかというと、プロレスで言えばアントニオ猪木さんもジャイアント馬場さんも「世間との戦い」があったと思うんですよね。プロレスに対する偏見の払拭。格闘技も一般的には「ちょっと黒いんじゃないか」みたいなイメージを持たれているところもありますけど、そのイメージの払拭というのはお考えになってますか?

榊原代表 人が持っているイメージを変えるのは本当に難しいですからね。まぁこればかりは、コツコツ実績を積み上げていくしかないでしょう。

――僕も「色々な方面の人々」を取材していて十分承知しています。が、少しでも和らげた方が良いのにと思っています。

榊原代表 ですね。より健全で社会的にも評価されるようなアクションを起こす必要はあるでしょう。アメリカでは社会的な地位も他のメジャースポーツと変わらないような立ち位置を、手に入れている。そこはわれわれRIZINを運営するドリームファクトリーワールドワイドという会社としての信用度とか透明性については、コンプライアンスに気をつけて会社経営をしています。

――僕らとしても当然、世間の偏見を押しのけて、格闘技というものをどんどん盛り上げていきたいし広げていって頂きたいと思っていますし。

榊原代表 でも、PRIDEの頃の熱気に近いものは2022年にニアイコールのところまであると感じていますよ。大晦日の大会なんかはまさに皮膚感覚でそういう感じはしました。

――それと今までは、コロナで外国人選手が来られなかったところが来られるようになった。なので「ベラトール対抗戦」では「海外強豪選手を日本人選手が迎え撃つ」という格闘技の興行の原点を見ました。

榊原代表 コロナ前と同じように、コンテンツも制約なく作れるところに戻ってきています。RIZINとしては最初から日本発世界に通用するコンテンツを、もう一度作り出したいというのが一つの大きなテーマでもあります。

――是非、それはやっていただきたいです。と言うと他のスポーツの国際イベントから影響を受けたりはされている?

榊原代表 影響を受けていますよ。数年に1回で格闘技、MMAの世界のナンバーワンを決めるものができるといいですけどね。これは2015年の立ち上げのときから言っているんです。世界中に乱立しているプロモーションに横の行き来はないんですが、ボクシングだと井上尚弥選手みたいにWBC、WBA、WBO、IBFとかタイトルを複数持っていた。今後の総合格闘技界にそういうアクションが起きるように僕らが呼びかけたいですよね。

堀口恭司(選手)がRIZINとベラトール両団体のチャンピオンになっていた。これは画期的なことです。その先には「UFC・ベラトール・RIZINのベルトも堀口が持っている」というような世界観を作り上げたいと思っています。