口腔底がん余命三年宣告でもオイラは歌う! 壮絶『オナニーマシーン』イノマーの言葉を聞け|暴走対談

暴走対談 平野悠(ロフトプラスワン席亭)×イノマー(ロッカー)


イノマー
「オナニーマシーン」のボーカリスト、ベーシスト。「オリコン・ウィーク The Ichiban」(「オリ★スタ」)元編集長。オリコン創始者小池聰行が2001年に逝去後、独立。ソフトオンデマンドなどでAV監督などもする。2018年7月に口腔底がん、余命三年を宣告されたのを公表。同年8月に舌の3分の2を切除。なおも活動中。

「俺たちはイノマーが淡々と語るのを「そうですか」と聞く、と。これしかないんじゃないか? 」(平野悠)

平野:「ルーフトップ」(※ロフトプロジェクト発行の月刊フリーマガジン)を見たら「死んだその日が最終回」って書いてあってびっくりしたよ。2年前、ロフト小林社長が癌との戦いで敗れて死んでしまったこともあるし、この記事はショックだったな。

イノマー:いつもこんな書くつもりはないんですけど、文章書く時はなんも考えないでバーって思いつくまま書いちゃうから、気づくと(笑)。

平野:昔のソニーの時はオナマシレコード1万枚近く売れてるんだから、やはりすごいんだよな。

スタッフ:LOFT RECORDSでは4万枚売れてます。ロフトでは一番売れたアーティスト。

平野:さて、ちゃんと正式にインタビュー始めましょうか。できれば俺は吉田豪さんみたいにインタビューの専門家になりたいんだから。ちゃんと下調べしたよ。今日は「かわいそう 」だとか、「頑張れ」とか、そんなことは言わないで! とにかくイノマーの最後インタビューかもしれないし、これひょっとしたら最後の……なんて言っちゃいけないな!

イノマー:ホントですよ、いつ死ぬかわからない(笑)。

平野:俺たちはイノマーが淡々と語るのを、「はあ、そうですか」と神様のように聞く、と。これしかないんじゃないか? と昨日からずっと迷ったんですよ 。とにかくイノマーさんのことを知らない人のためにTABLOで出します。TABLOは月間800万PV以上のアクセスがあるんですよ。まずは人定尋問から行きたいと思います。1966年生まれ。オナマシのボーカルベース担当、駒澤大学を出てるんですね。そっから即オリコン入社。その音楽誌編集の時代にイノマーさんはバンド活動やるとかは考えてはいなかった?

イノマー:何も考えてなかったですね。オリコンって会社自体もどんな会社なのかわんなかったですし。当時、アルバイト募集みたいなのが出てて普通に応募しただけ。

平野:オリコンに入社出来たのは故小池聡行社長さんの寵愛が深かったわけ?

イノマー:最終的にはそうかもしれないですね。

平野:小池さんって不思議な人だね。 イノマーってオリコンで編集長2回、副編集長3回もやってるんだろ? 降ろされたり上げたり降ろされたり…そんな人生。これも後ろで全部見てたのが小池さん?

イノマー:そうですね。先代の小池会長が面白がって全部任せてくれた。それ以外の人は全然認めてくれなかった。

平野:ボスがいいんだ。じゃあボスが死んじゃった時はショックだった?

イノマー:同時に退社しました。肩たたきにあう前に自分から。

平野:居場所がなくなってやめちゃうんだ。だってその時は愛する妻がいたわけでしょ? 生活面倒見なきゃいけないわけでしょ? (イノマー飲み物を吐く)。愛するなんて言ったらむせちゃったか。

イノマー:いやいや。でも当時結婚してたのかなぁ? いや、離婚してましたね 。1回目の。

平野:何でその女と別れたかというと「リビドーがなかった」。 思わずわたしゃリビドーって調べたね。リビドーがないとは「性的衝動がない」なんだろうけどえらい哲学言葉だよね。

イノマー:オイラがもうなかったのかも。