自分は処方箋をもらう権利なんてないし、人一倍に性格がだらしないだけかも…という不安の先|成宮アイコ

<頭がいつも言葉のゴミ屋敷状態>

そんな風に思考がとっちらかっているので、頭の中はいつも言葉のゴミ屋敷のような状態です。

順番に記録をしておくノートや、エピソードごとに整理をしておく引き出しがなくて、どこにも片付けられないまま散らかっている言葉や感情や思考。必要になったときには、どこにあるのか、それとも邪魔になって捨ててしまったのか、それもわからないままただ慌てて探し続ける(もしくは思い出そうとし続ける)。その作業はとても消耗します。

どんなに気をつけても、気をつけようとしていたことも忘れてしまう。

家族と電車に乗っていたときのこと、「いま、一瞬、すごい家が見えた!」と言われました。そう。言われたことを耳では知っていたのですが、わたしの頭の中は常に、とっちらかった思考の大会議状態なので、相手が発言をしてからそれが自分の頭の理解する順番にくるまでに時間がかかることがあります。
次の駅につくころにやっと順番がきて、「えっ、どんな家?」と聞きました。わたしの様子に慣れている家族はなにごともなかったかのように、「あのね」とにこにこ普通に対応してくれますが、この数分、待ってくれていたのです。にこにこと話しを続けてくれる笑顔を見ていたら、急に悲しくなってしまいました。

大事な用を忘れてしまうことも、何度チェックをしようとしても間違いの存在の認識ができないことも、思考の順番がめちゃくちゃになることも、頭の中で言葉や音楽が轟音で鳴り続けることも、もうぜんぶ限界だ。いい加減、自分に疲れ果ててしまった。

そして、「もう、なにが無理なのかもわからないです」と再通院が始まりました。

医療控除を受けるための診断書に書かれたのは「注意欠陥/多動性障害」。悩みを話すごとに、おそらくそうだろうなという自覚はあったのですが、ここまで気持ちが限界になるまで通院を悩んでいたのは、理由があります。

自分にはつらいと言う権利があるのか、わからなかったのです。