「100円ちょうだい…10円でもいいや…」 カッターナイフを手にしたこの強盗男は“あなただった”かもしれない

「将来のことを考えたくなくて、考えるのが不安で怖くて、酒を呑めば考えずに済むので酒に逃げました」

あとから恐怖が襲ってきた、と運転手(画像はイメージです)
あとから恐怖が襲ってきた、と運転手(画像はイメージです)

彼は高校中退後、ずっと電気工や鉄筋工などの職に就いてきました。肉体労働ばかりです。若い頃はそんな仕事も平気でこなしていましたが、年齢を重ねるとともにだんだん体力は衰え身体のあちこちが痛んだり思うように動かなくなっていきました。

50歳を過ぎてからは仕事を続けることができなくなった彼は退職を余儀なくされ、その後は貯金を切り崩しながら生活していました。

次の仕事は探していなかったようです。

探さなかった理由は裁判では触れられませんでしたが、おそらくもうそんな意欲も湧かなかったのかもしれません。

30年以上も身体を動かす仕事しかしてこなかった人が、いざ身体が動かなくなってしまった時に意欲的に次の仕事を探すことなどそうそう出来ることではありません。

「先を見ると不安ばかりでした。仕事を辞めてからは毎日のように酒を呑んでました」

彼の生活を支えてくれる人は誰もいませんでした。婚姻歴はありましたが妻はもう亡くなっています。離れて生活している娘もいますが「食べていくのもやっとの生活」をしている彼女を頼ることはできませんでした。
彼の生活は日に日に崩れていきました。