マルサの男 東京国税局査察官が職権濫用で離婚協議中の妻のプライベート情報を入手し公開裁判へ

彼が結婚をしたのは平成28年9月のことでした。翌年の10月には長女が誕生しています。しかし平成30年12月14日、妻が突然家出をしました。その後、妻の代理弁護人から連絡が来て離婚したい旨を言い渡されました。

「突然家出をした」と書きましたが、これは証人として出廷していた彼の父親の言い分です。裁判では詳しいところまでは触れられませんでしたが、妻が家出をした理由は彼の不貞行為でした。妻にとってはこの家出は「突然」でもなんでもなく、すでに家庭が壊れる予兆は以前から彼自身の手で作ってあったのです。

離婚の原因が彼の不貞行為にある以上、彼に不利な条件での離婚協議が進んでいくことは明らかです。しかし彼は妻に対して1つの疑惑を抱いていました。

「夫婦間のお金は全て妻に任せていました。自分に黙って勝手にお金を使ってたんじゃないかと思ってました」

もしこの疑惑が真実ならいくらかは離婚協議が有利に進むのではないか、そう彼は考えてしまいました。

「少しでも自分が有利になるような情報がほしい。妻の資産情報が知りたい」

妻の家出後、すぐに彼は一連の犯行を決意しました。国税局査察官に与えられている強制調査権限を私的に行使することが許されないのは十分に理解していたそうです。