マルサの男 東京国税局査察官が職権濫用で離婚協議中の妻のプライベート情報を入手し公開裁判へ

「やろうと思った時に、発覚した時のことは考えなかったんですか?」
そう裁判官に聞かれた時には、
「自己中心的な思いばかりでそこまで考えませんでした。もちろん葛藤はありました。それでもなお情報が欲しいと思ってしまいました。離婚への不満もありましたし、それに娘に会えない焦燥感もあって…。誰にも相談せずに判断してしまいました」
と答えています。

事件当時、娘はまだ1歳になったばかりです。言葉にしてしまえば「娘に会えない焦燥感」という短いものになりますが、彼にとっては正常な判断を出来なくさせるのに十分な出来事だったのかもしれません。

とはいえ、この事件は公務員全体への信用を毀損しかねない悪質な犯罪です。検察は懲役1年6ヶ月を求刑しました。

彼は国税局を辞めてからは父親が開いている税理士事務所で働いています。元国税局というキャリアからすれば妥当な再就職先かもしれませんが、起こした事件の内容を考えると少し不安になってしまいます。(取材・文◎鈴木孔明)

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