還付金詐欺の「出し子」が裁判で吐露した“逮捕されても抜け出せない地獄” こうして犯罪者は次の犯罪に手を染める

そんな生活をしていた彼に、共犯者は再び詐欺に加担するように持ちかけてきました。

「共犯者に詐欺のことを持ちかけられました。かなり強制的な感じで持ちかけられました。でもはじめは断っていました」

引っ越して逃げよう、とも考えたそうです。しかしガンの母親の存在がネックになってそれはできませんでした。

「やっぱり生活にも困っていたっていうのもありましたし、いつまでも断り続けることができるような状況でもありませんでした」

そして彼は再び犯行に加わることを承諾してしまいます。

「捕まるかもしれない、とは思っていました。でも、やるしかない…やらざるをえないと思いました」

この詐欺事件では出し子をしていた彼と、受け子役をしていた男の2名だけが逮捕されています。彼に犯行を持ちかけた者や犯行を指示していた者は捕まっていません。

検察官は懲役2年を求刑しました。判決公判を傍聴していないため判決はわかりませんがおそらく求刑通りではないかと思います。以前にも同じことをしている点など考えれば執行猶予は付いていないはずです。

彼は加害者です。当然罰は受けなければなりません。その一方で、より罰を受けるべき者が罰を免れているという事実に強い怒りを覚えます。(取材・文◎鈴木孔明)

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