外国人の結核患者数が1割を占めたと厚労省が発表 政府は6ヶ国の訪日外国人にビザの要件を増やす意向

そもそも結核は、今回の発表で(全体では)過去最少となっていることでもわかるよう、けっして感染が多くなっている病気ではない。これは特に先進国と言われる国では顕著だ。つまり、結核が(先進国より)高い割合でまん延している国からの長期滞在者を水際でチェックすることが、国内の結核患者の数を減らすことにつながる。そういった意味では、東京オリンピックで外国よりのゲストが激増する前での対応は、いささか泥縄感があるとは言え意味はあるだろう。

もっとも、たとえ結核に感染したとしても、必ずしも発症するとは限らず、健康な人なら(発症は)10人にひとり、ふたりの割合ともいう。逆に言うなら、なんらかの疾病を持っている人、高齢者、乳児などには警戒が必要となってくる。咳などの症状が続くようなら、念を入れて医療機関での診断を仰ぐべきだ。

また、ストレプトマイシンのおかげで不治の病というイメージは消えつつあった結核であるが、近年では薬剤耐性を持った、いわゆる“ハイパー結核”も出現している。対策として医療機関では、かつてのようなストレプトマイシンの単独使用ではなく、複数の薬剤を使用する療法が主流となった。いずれにしても、結核という病を「過去の病」に葬り去るために、水際対策が有効なことに違いはないだろう。(文◎鈴木光司)

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