世界最強オールブラックスのハカにどう対抗すれば良いのか 2008年のウェールズ戦は異様な雰囲気に包まれた
2008年のウェールズ戦は異様な雰囲気でした。ニュージーランドラグビー史上最高の選手と言われるキャプテン、リッチー・マコゥ(フランカー)を擁しまさにスター集団。ウェールズとの力は圧倒的に差があると言われていました。
試合前、両チームがグラウンドで相対します。オールブラックスはハカの体制を取ります。ウェールズはチームメイトと肩を組むわけでもなくただ、呆然と立ち尽くしているように見えます(後述しますが「呆然」とではなかったのです)。
ハカはリッチー・マコゥの他、怪物と言われたセンター、マア・ノヌーらと共に行われていきます。観客の声援は最高潮に達していきます。そしてハカを躍り終えた後、「それ」は起こりました。
レフリーがボールを蹴りながら、両チームの間に向かって行きます。通常、両チームはハカが終了した時点で各ポジションに散って、試合が始まるのですが、ウェールズの選手は睨むでもなく、一見無表情でずっとその場に立ち尽くしたままです。
オールブラックスの選手たちも「おや?」という感じで、一度ポジショニングしようとしましたがそのままの状態になります。
レフリーは両チームを分けようとしますが、ウェールズは引きません。無表情のまま相手を睨むでもなく、視線をそらさずそのまま立っています。
ここで観客は初めて、異様な事態に気づきます。ハカを見て盛り上がったとは質の違う声援がグラウンドを包みます。