【追悼再掲】口腔底がん余命三年宣告でもオイラは歌う! 壮絶『オナニーマシーン』イノマーの言葉を聞け|暴走対談

平野:俺の永遠の心情は反権力側に立つのは素敵だってのと同じでさ、なんか近いよ。それと同じだよな? パンクバンドは基本的にそうか。戦争反対はとりあえず言っとけばいいんだよ。どうでもいいけどさってこと、社会を俯瞰でポーンと見るような感じだね。

イノマー:全てに関してそうです。すべてに関して俯瞰で見てますね。だから、他人にはまったく期待していないですし。

「オイラはどんな辛いこともすべて受け流して来たんで」(イノマー)

平野:歴史に残るだろう渋谷 La.mama(ラ・ママ)でのライブの話にいこう。

スタッフ:多分昨年の8月ですね。医者から止められてるんだけど、舌を切る前に最後のライブをやろうと言うことで。

平野:ラ・ママの伝説のライブってのは8月のことなんだ! 朝の6時から100人以上並んで60万円以上の寄付が集まった。伝説のライブをなんでうちでやらなかったんだって怒ったんだよ! つい最近だけど(笑)。医者から手術をしたら「助かる可能性がある」けど、「間違いなく歌えるようにはならない」と言われた。

イノマー:それはもう絶対に歌えない。でも手術しないと死んじゃうわけで、手術は舌を切るのは確実。受け入れるしかない。でも、もしかしたら、もしかしたら歌えるかもしれないなって。
オイラの中でどうにかなるんじゃないの? っていう曖昧で不完全な自信がそこでもあって。だからやってみないとわからないかなって。だけど、担当医師の話を受け入れたわけではないんですよ。

オイラの人生って、受け入れたわけではなくて、ずっと全て受け流して来た人生っていうか。20代後半からそうですね。離婚もそうだし、会社ヤメて無職のフリーになった時もそうだし。アル中とか病気とか癌もそう。オイラはずっとどんなことも、どんな辛いこともすべて受け流して来たんで。

オイラの人生論は「全て受け流す」。だから「癌です」 って言われたときも受け入れたわけじゃなくて、受け流したし。舌切りますよ って言われたのも受け流した。流れていけばどうにかなるんですよ。流れていかないと腐っちゃう。川の水もそうだし。水も流れていけば腐らないんですよ。ドブにならない。だから受け流して。

平野:真正面から受け入れちゃうとしんどくなって辛くなる。

イノマー:無理です。死ぬしかないから(笑)。

平野:何を言われても俺は俺だっていう感覚で生きる。

イノマー:そうですね。どんな強風も吹かれながらそれを楽しんで。笹の葉というかススキのように受け流す人生ですね。


20周年記念アルバム「オナニーグラフティ」