埼玉県川口市のクルド人児童差別問題はなぜ起きたのか 日本の『移民問題』はすでに始まっている

マスコミに報じられた当初、学校側の窓口となったB教頭(当時)のマスコミに対する説明は二転三転。そのことによって、「イジメを隠蔽しているのではないか」と主にネットを中心に批判が殺到した。

しまいには、B教頭はもちろん、加害児童の“犯人捜し”まで始まるなど、イジメを含めた二重の人権侵害の様相も呈してきたのだった。

知らない人たちへの怖さ

そして、いまひとつのクルド人児童への差別問題。

これは稿をあらためて詳細をルポしたいが、単に児童間だけの問題ではない。根っこには、地域社会と集住化が進むクルド人の間で、少なからず軋轢があることに起因する。A小学校の隣の学区に住み、小学生の児童を持つある母親はこう証言する。

「このイジメはママ友の間でも話題になりました。ただ、現実的な問題としてクルド人と日本人の間で意思の疎通に欠けているのは事実。トラブルも少なくなく、(クルド人)家族単位での移動が多いので話声がうるさいとか、一か所に集まるので路駐されて迷惑しているとか、ゴミ出しのルールを守らないとか……多かれ少なかれ住人は我慢していると思います」

大人たちの間で不満が渦巻けば自ずと子どもたちにも伝播していくであろう。このようなことが、なんら罪のないクルド人女児へのイジメに繋がっているのだとしたら、その解決策は容易ではないのだ。