なぜ元農林水産事務次官の熊沢英昭被告は保釈されたのか 実刑判決後でも保釈できる? 東京高裁が下した判断とは

先日この熊沢被告について、東京高裁が保釈を認める決定を出しました。保釈保証金は500万円です。

殺人罪で起訴された被告が一審で実刑判決を 受けたあとに保釈が認められるのは異例なことだそうです。

一審判決から14日以内に控訴しなければ判決は確定しますが、12月21日現在ではまだ弁護側も検察側も控訴の申し立てはしていません。保釈が認められたといっても身体拘束が解かれるのは短い期間になりそうです。おそらくは身辺整理のための保釈申請だったのではないでしょうか。

しかし、それでも異例なことには間違いありません。何故、今回の保釈は認められたのでしょうか。

異例の保釈許可

殺人罪の被告の実刑判決後の保釈は異例ですが、他の事件ならば実刑判決後の保釈が裁判所の裁量で認められることは少なくはありません。

そもそも拘置所や刑務所に身柄を勾留し自由を奪うことは人権の侵害です。もちろん警察や検察、裁判所はそれが許される特権を与えられているのですが、あくまでも「特権」です。行使するにはそれ相応の理由がなければいけません。

以前、飯塚幸三氏が9名の負傷者と2名の死者を出す事故を起こしてしまったにもかかわらず逮捕されなかった時には、

「なぜ逮捕しないのか」

という声が挙がりました。

飯塚氏に関しては逃亡や証拠隠滅のおそれがなく、逮捕要件を満たしていませんでした。このような人を逮捕し勾留する権利は誰にも与えられていないのです。

 

参考記事:「元官僚」で「上級国民」だから私刑に処するのか 71歳男性が90歳女性を轢き殺した裁判を思い出した池袋の母子死亡交通事故 | TABLO