なぜ元農林水産事務次官の熊沢英昭被告は保釈されたのか 実刑判決後でも保釈できる? 東京高裁が下した判断とは

今回の熊沢被告の保釈に関しても、基本的には同じような理屈だと思います。

保釈も権利です。定められた基準さえ満たせば誰にでも認められます。一審判決後は推定無罪の原則が失なわれるためにその権利は失われますが、裁判所の裁量で保釈を認めることはできます。

熊沢被告は裁判でも罪を認めていました。犯行自体も情状酌量が認められるものです。すでに審理も尽くされているため証拠隠滅のおそれはないように思えます。

逃亡のおそれに関しても保釈保証金を納めていること、きちんとした身元保証人がいることを考えれば可能性は低いと判断できます。

さらに元事務次官という社会的地位の高さ、穿った言い方をすると「上級国民」であるということも逃亡のおそれがないと判断される要素になります。

公開されていないだけで他にいくつも保釈の条件はあるはずですが、熊沢被告の保釈が認められたということ自体は原理原則論で考えれば問題があるとは思えません。

むしろ、この保釈が「異例」だと言われてしまうことの方が問題なのかもしれません。