これがヤラセのからくり 地元有力者が語る『24時間テレビ』とのやり取り 妄想ドキュメンタリーはこうして作られた!

日本のテレビ局が来て収入をもたらした

――私たち日本人も許可を取ることができるんですか?

「大丈夫大丈夫。規則で禁止されている地域だけれども、協力要請をして許可をもらうことは出来る。ただ、上げる時間帯は指定されるよ?」

これは意外だった。てっきり、元副町長が航空局に根回しをしたのかと睨んでいたが、日本語を話す日本人スタッフが現地で許可を取ったことが判明した。

少し解説が必要かもしれない。この「N」町はコムローイを制作する町としては有名なのだが、町の場所はコムローイを飛ばすことを航空局から禁じられている。それ故、町にはコムローイを毎年飛ばすというような風習はなく、町役場でもそれを確認した。つまり、過去ここで大々的にコムローイを上げたのは日本のテレビ局だけ。だから町の人々ほぼ全員がそのことを鮮明に記憶していたのだ。

――その時は雨季だった思うのですが、やるべき季節ではないですよね?

「そうなんだ。本当は乾季の寒い時期の終わりの頃にしたほうがいいね。それか、寒い時期に入る前が良い。この2つの時期がいいね。8年前のように雨が降ってる時にやるのは、問題あるね」

――ところで、日本のテレビ局が来た時は人を沢山集めたと思うんですけれども…

「そう、とてもたくさんだよ! この町には14の集落がある。そこからかき集めたんだ。日本のテレビが来た2回とも、“集落の高齢者や子どもに収入をもたらすこと”ができた。その金を集落の維持に使ったんだ。その時には日本のスタッフは、私たちにコムローイを何個と指定したんだっけな……」

――8,000個ではないですか?

「そうだそうだ。8,000個と言ったのは、値段交渉で一個あたりいくらと決めたからなんだ。例えば、一個10バーツだとしたら8,000個上げるんだったら、80,000バーツだろ? そんな感じで決めていったんだ」

――8,000個上げるなら、人は8,000人集めたのですか?

「コムローイの数が8,000個でも、4,000人で十分だ。だって一人2つ上げればいいだろ? 交通費をその人達に出さなければならない。でも、それが集落の人々に収入をもたらすんだから素晴らしいことだ」

元副町長はニヤリと笑って、そう言った。