あの『映画秘宝』も休刊 これを窮地と取るか好機と取るか コンビニで成人誌が置かれない今こそ試されるライターの力|藤木TDC

そして私のようなフリーライターの立場からすると、そうしたザラ紙の実話雑誌に書き続けられることがひとつの希望であり、ザラ紙雑誌の持つアナログでアナクロな触感の上で活字で何ができるか問われることに意義を感じる。

実話雑誌は60年代にブームになった紙媒体だが、ピンク映画やカセットテープが生き伸びているように、ザラ紙雑誌も若い読者を獲得できると思うし、そこからエロ文化の新たなサムシングが誕生する可能性もある。その意味ではエロ本はまだ「終焉」していないのだ。

私は「映画秘宝」にも長く書いてきたが、同誌は“老眼殺し”といわれるほど文字を詰め込んだ雑誌であり、やはり活字で何ができるか問われていたように思う。同誌がなんらかの形で復刊するならば、そこでは映画に対する活字の新たなアプローチが探求されるべきだ。そうでなければ雑誌、紙媒体として復刊する意味はないのだから。

そのような意味で雑誌の衰退はライターにとって実は新たなチャレンジの機会でもある。ライターとしての資質が問われる場であり、そこに楽しさややり甲斐を感じなければライターをする意味はない。雑誌の現状は私にとっては案外、好機なのだ。(文◎藤木TDC)

※タイトル画像は休刊が発表された『映画秘宝 2020年 01 月号』より

あわせて読む:杉田水脈議員と小川榮太郎氏で下手を打った「LGBT批判」 新潮45は休刊すべきではない | TABLO