捏造ドキュメンタリー番組は『イッテQ』スタッフが作っていた! 日本テレビ『24時間テレビ』のヤラセ疑惑問題

タイ人を馬鹿にした番組作り

タイ・バンコクから車で北上すること約6時間。避暑地で知られるペッチャブーン県の外れにあるS村に『イッテQ』の撮影スタッフが降り立ったのは17年1月のことだった。その日、約200人の村人が集まり、ある〝お祭り〟が行われたという。

〈カリフラワーの名産地で年に1度収穫を祝う祭りが開かれる〉

〈年に1度の祭りとあって村中の人が集まってきた〉

番組では、そんなナレーションに続き、「五穀豊穣を願う祭りです」という実況が流れ、村人たちの笑顔が画面いっぱいに映し出された。この日行われたのは、村人たちが二人三脚で泥沼を駆け抜け、20キロのカリフラワーを収穫する速さを競う勝ち抜きレース。この「カリフラワー祭り」の視聴率は歴代6位タイの22.2%を記録した。

だが――。S村の村長は文春の取材に対し、こう疑問を呈しているのだ。

「あれは、テレビ番組のコーディネーターを夫に持つN氏から『日本のテレビが来るのでラコーン・サン(短いドラマや芝居)を作りたい』と言われて行ったものです。『何かアクティビティをしたい』とテレビ制作側の話があり、話し合いの中で『カリフラワーを使ってやろう』ということになった。去年は野菜の値段がとても安かったので、カリフラワーを使ったゲームができたのです。あれは収穫を祝うものではなく、毎年1月の第2土曜日に行われる子供の日の行事です」

この日、会場には参加費用として500バーツ、優勝賞金として2,000バーツという金額を提示された村人たちが続々と集まったという。2,000バーツは日本円にして6,500円ほど。平均月収が4万円に満たないタイの農村民にとって願ってもない大金である。実は、それらの運営費はバンコクのM社がコーディネートを担当し、諸々の費用を負担していた。こうして「子供の日の行事」は「年に一度」の「五穀豊穣を願う祭り」にすり替わり、例年にない豪華景品を求めた村人たちが大挙してカリフラワー畑に押しかける騒ぎになったのだ――。

 

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