捏造ドキュメンタリー番組は『イッテQ』スタッフが作っていた! 日本テレビ『24時間テレビ』のヤラセ疑惑問題

BPOの甘い判断

文春関係者が取材を振り返っていう。

「すべての企画運営を行っているのは、M社の社長ですよ。社長は文春の取材に対し、『最近は今までやってきたネタが尽きてきましたよね(笑)。いろんなことを〝お手配〟しながらやってきた』と捏造を認めていました」

名もない農村に彼らが残した爪痕は〝面白さ〟を至上命題とする人気番組の奢りだったのだ。一連の文春の報道を受け、放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会は「放送倫理違反があったと言わざるを得ない」との見解を発表。だが、一方でBPOは「バラエティ番組の企画として『祭り』を用意し、これを収録することはありえよう」と大甘の見解を披露した。それと足並みを揃えるかのように、一般視聴者の評価は『イッテQ』に同情的だった。「バラエティ番組なんだから面白ければ……」という声が大半を締めたのだ。だが、前述したように24時間テレビと『イッテQ』は同列に扱うべき番組ではない。

同番組を視聴した他局の制作スタッフが呆れ顔でいう。

「改めて放送内容を見ると『これ大丈夫か』という場面が少なくないんですよ。例えば、白いインクで『HELP JAPAN』と落書きされている象が登場しますが、これはどのような経緯で書かれたのか。また、スラムの人々が(日本の被災者のために)募金活動をしているシーンがありますが、あれは本当に日本のためだったのか。ヤラセということが分かった以上、今後様々な角度から検証が必要になってくる。ただ、〝チャリティー番組〟という分厚いフィルターを通じて番組を目にする一般視聴者が真実を見抜くのは困難でしょう」

善意の視聴者を欺き、現地のタイ人を貶めた日テレには猛省を促したい。(取材・文◎松井大志)

 

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